オトマイム

オマールの壁のオトマイムのレビュー・感想・評価

オマールの壁(2013年製作の映画)
4.0
日本のような島国にいると実感が湧きづらいけれど、世界にはまだ至る所に壁がある。
パレスチナ問題を理解することもなかなか難しい、でもこのような映画を観て彼らの苦しみを「感じる」ことはできる。

本作を観て驚いたのは、
①オマールが壁をよじ登って「向こう側」にいる幼なじみの友人や恋人に日常的に会いに行っていること。壁ってこんなに簡単に超えられるもの?
②キスシーンもない初々しい恋人同士。未婚女性が妊娠することの大きな罪。
③全裸にされての拷問シーン(とはいえカムフラージュして描かれていて直接的な描写はない)。

政治的に抑圧された状況で少しずつ壊れていく信頼関係。それがみていてすごく辛かった。だけど緊迫した政情の中、育まれる愛や友情は、私たちのそれと何ら変わりない。純粋で切ない青春映画でもある。