CureTochan

シェフ 三ツ星フードトラック始めましたのCureTochanのレビュー・感想・評価

4.5
なんてことない話であることも含めて、期待通りの2時間だった。映像も音楽も心地よく、セリフとサントラの音量に差があるのでどうしても音楽が大音量になるが、それも監督の狙いだろう。私にとって名作である「ザスーラ」しかり、「RDJをキャスティングできた時だよ、この映画は大丈夫だと思えたのは」と語っていた「アイアンマン」しかり、ほんとに有能な監督である。しかしそんなに才能があっても、ザスーラは商業的に完全に失敗だったわけで、本作は料理と映画というジャンルを超えて、そこからMCUの成功までの物語のようでもある。映画もまた、なんてことない食材が美味しくなるマジックだからだ。

ほとんどがラテン系のキャストである本作の嫁さんの女優は、「モダン・ファミリー」というドラマで、家長にあたる爺さんのセクシーすぎる後妻をやっていた。連れ子をちゃんと育てているしっかりした母親であるところが逆におかしかったが、本作でも良き母でありつつ、ビジネスウーマンでもある佇まいをうまく表現していた。男の子もすごくよかった。やはりキャスティングが、わかっている。RDJがちょっと変なだけじゃなく、ちょっと嫌な奴だった。一方でジョン・ファブロー自身は絶対に彼でないといけない・・ほどではないが、彼独特の味がメインディッシュなのだと思えば替えは効かない。また笑えるシーンに関してはぴったりだと思う。コーンスターチを股間に入れるくだりは、まさに天花粉でやったことがある。男が電車で股を開いて座るのも、風通しを良くしたいからであり、精子を良い状態に保つための本能的なものではなかろうか。

前半の店を辞める前のところで、せっかく集めた食材を持ち帰って料理を始めるんだけど、あまりに決然と作り始めるので、批評家に食わしたり写真をツイートするのかと思ってしまった。ただ作りたかっただけなら、それがわかるようなカットが必要で、演出がミスリーディングである。あと、日本語だけの問題だが、ケトルコーンは買わないと息子に言っておいて、やっぱり買っているというくだりは字幕を「ポップコーン」にしておかないとわからないと思う。
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