りふぃ

百円の恋のりふぃのネタバレレビュー・内容・結末

百円の恋(2014年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

一味違う恋愛映画。
主人公一子の成長が著しい。

最初はニート生活をしており、体型をカバーするようなダボダボコーデ、ボサボサのロン毛、胡乱な目付きだった一子。
だが、姉妹喧嘩をきっかけに家出してから恋をして(その後大変なことが起こるけれど)ボクシングに出会う。
ボクシングに出会ったあとの彼女の体型は見違えるようになり、髪も前髪をあげて、目に光が宿っていた。
実家の手伝いもするようになり、当初からは考えられないくらいの変貌ぶり。

安藤サクラの演技には本当に痺れる。
たった一人でどれだけの役になりきれるのだろうか。末恐ろしい。
私は『万引き家族』で初めてその存在の凄さに気づいた流行遅れ人だが、それでもまだ彼女の存在を知れただけでも恩の字だ。

一子が恋した男狩野のボクシング試合シーンが序盤で登場するが、最後の方では立場が逆転してカメラアングルが変わる。
また、狩野が打ちのめされた時はそのまま試合終了となったが、一子の場合は「立てよ!」と煽られて立ち上がる。ここも見事な対比となっていた。

きっかけはそこら中に転がっている。
それを拾い上げ、本気で取り組むかどうか。それだけが人の胸を打つか打たないかの違いなのだ。

最後に狩野がきっかけをつかめてよかった。どうしようもないクズ男だが、クズで終わる気はなさそうだ。
一子は一足先に行ってしまった。
りふぃ

りふぃ