Rio

百円の恋のRioのレビュー・感想・評価

百円の恋(2014年製作の映画)
4.5
    「立てよ!この負け犬!」

松田優作さんの地元、山口県で開催された周南映画祭で「第1回松田優作賞」グランプリに選ばれた足立紳さんの脚本を武正晴監督が映画化した作品

みじめな底辺女子が人生をかけてボクシングに挑む感動のドラマ

32歳、実家の弁当屋も手伝わず、親のすねをかじり自堕落な生活をする一子(安藤サクラ)
離婚し出戻ってきた妹と大喧嘩し、家を出て一人暮らしをすることに
そして深夜の100円ショップで働き始める
通りかかったボクシングジムで見かけた男、狩野(新井浩文)との出会いが運命を変える


「(女)捨ててるんじゃなくて、捨てられないんでしょ?」


ぶよぶよの体、ばっさばさの髪、だるだるの部屋着、ゲームしながらタバコ吸って、背中ボリボリかいて、1500mlのコーラをラッパ飲み、コロッケ食べてお尻で拭いて、脳天にケチャップぶっかけられて、殴り合いの喧嘩して、外出てド派手にずっこける

まず、この序盤のシーンにしてもこんな事できる女優さんは安藤サクラさん以外いないでしょう!
女優魂に感動する!国宝級女優だよ!

チャリで夜の街をぶらぶら
チーン!ってたまに鳴らすベルの哀愁

深夜の100円ショップに集まるのは店員を含め一癖も二癖もあるおかしな人ばかり
仕事を教えてくれたおしゃべり大好きおじ(坂田聡)ほんとーーーーーーーーーーーにクソ野郎!最低品質人間!
今年『サユリ』で話題になった根岸季衣さんは、廃棄弁当を盗みに来る元バイト強烈陰謀論ババア
そしてそして、バナナを大量買いする“バナナマン”ことボクサーの狩野(新井浩文)
お金払ってバナナを持っていかないのは、ボケてるのか、それとも一子に追っかけてほしかったから?
無愛想で鋭い目の狩野も新井浩文さん以外考えられない

急な初デート、精いっぱいのおしゃれ、冴えないワンピース、軽トラ

寝込んでる時に焼いてくれたステーキ
固くて馬鹿みたいに大きい肉、噛み切ろうにも噛み切れない
不器用な優しさ
抱きしめてくれた温もり

いい関係になれたと思えば
「馴れ馴れしいな」 グサッ
「嫁づらするな」 グサッ  
「何ぶりっ子してんだ、殺すぞ」 グサッ

やられっぱなしの日々
言われっぱなしの日々
反撃できない自分の弱さと諦め

悲しみ、悔しさ、怒り…
すべてをボクシングに向けるようになった一子
見た目も、マインドも、家族との関係も変化していく

32歳、最初で最後の挑戦
一度でいいから、人生燃えてみたい

「年食ってから自分に自信がないってのは惨めだからな…」

実家の“さいとう亭”を背負って上がるリング
そして入場曲は…

   「私100円程度の女だから」

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
呆れるほどに、痛かった
馬鹿にされても、無理だといわれても、立ち上がる
この姿に胸が熱くなる

      「勝ちたかった」

エンディングのクリープハイプ、ストーリーとシンクロしててもう…ね…
何回観てもぐっちゃぐちゃのぐっちょんぐっちょんに泣ける…

終わったのは始まったから
負けたのは戦ってたから
別れたのは出会えたから

クリープハイプ/百八円の恋
https://youtu.be/DLJs3II1EZA?si=hAjBEsrOzOmzeRJv

あちこちにあったキャッチコピーをメモ
・お客様もお店もやればできる百円生活!!
・その拳で世界をつらぬけ
・男なら豆腐、女ならなお豆腐
・Hungry/Angry
Rio

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