Rio

恋人たちのRioのレビュー・感想・評価

恋人たち(2015年製作の映画)
4.5
「人っていろんな決心をして生きていくと思うんですよ」

『ハッシュ』『ぐるりのこと。』の橋口亮輔監督作
『恋人たち』と聞いてラブストーリーを想像してた
どうしてこのタイトルにしたのか意図を知りたい
私の感覚だと『人間たち』な作品
様々な人が、理不尽な事に悩み苦しみ、それでも生きていくストーリー

主人公
・妻を通り魔に殺され心を病んでしまったアツシ(篠原篤)
・ゲイでエリート弁護士の四ノ宮(池田良)
・気の合わない姑と無関心な夫と暮らす中年の高橋(成嶋瞳子)

この3人を中心とした群像劇

一この作品には配慮が必要と思われる表現や、青少年に注意が必要と思われる表現があります一
これは性的なやつかと思ったら、性描写もあるんだけど大した事なくて、それよりリアルでショッキングな薬物や自傷行為のシーンがあってびっくりした

突然の一人語りから物語は始まる
暗く、ゴミだらけの部屋

アツシ役の篠原篤さんの演技は圧巻
愛する人を理不尽に奪われた男
悲しみ、怒り、憎しみ、絶望……
殺したくても殺せなくて
死にたくても死ねない
今年観た映画の中で1番素晴らしい演技だったと思う!!
あまりにも辛くて、演じていて本当にメンタル悪い方に持ってかれてないか!?と篠原さんを心配しちゃうレベルだった

アツシの義姉、これもまた辛くて…涙無しには見れない

タバコをぷかぷか、だらしないお腹
平凡なパートの高橋
崇拝する雅子様
働く弁当屋のピリついた雰囲気
狭くごちゃごちゃとした家
自販機で買うコンドーム
汚い風呂場で拭く体
退屈な日々の中、王子様のように現れた男

バカだと言われても“美女水”を信じて買うピュアな人
準ミスだから!(なんの?)
とにかくいろんなもの入ってるよね!
このくだりは笑える

弁護士の四ノ宮
どこか人を見下していてる
真剣に人の話を聞かない
思いを寄せる旧友がいる
ゲイだからと警戒され、話を聞いてもらえない

脇役
光石研さん、内田慈さん、黒田大輔さん、安藤玉恵さん、山中崇さん、リリー・フランキーさんなどなど安心と信頼の名俳優ぞろいで、キャストの演技合戦のよう
薄情な人、親切な人、人物描写に驚く

中年男女がチャリにけつで鶏を追って、必死で捕まえようとわちゃわちゃするシーンは岩井俊二監督のようにキラキラと輝く青春のように見えて美し…バキッ!ヒェッ!!
なんだろうな…
幸せな時間は無慈悲にも突然終わる
現実の残酷さ

美術も凄い
生活感、閉塞感
あちこちから伝わってくる

終盤は狂気に満ちて、これでもか!ってくらいどん底に叩き落とされる

お風呂に浮かぶアヒルちゃんのように、沈みそうになっても浮かび続ける人達

「頑張れよ、お前が沈んだら俺悲しいからな…」
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