Krone

劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンスのKroneのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

高山さんたちの声だから見られた部分も大きいかもしれないけど、思っていたより楽しめた。

もちろん「楽しいムーミン一家」とは絵柄も違うし、性格は結構ぶっとんでいて、わりと辛辣な台詞も吐いてくる。

内容はタイトル通り、リビエラへバカンスにいったムーミン一家のお話。

場面の切り替えの演出が面白い。

少しだるくなる箇所もあるけど、のんびり鑑賞するにはじゅうぶんです。



開幕からいかれた発言。

水浴び小屋ってこんなに近かったっけ?

ミイとミムラとは初対面。

「この家の連中はいったい、どうなってるんだ」

リビエラって本当に黄色が目立つところなのね。

無知って怖い。

いちばんはっちゃけてたのはフローレン。

平和な(?)決闘。

パパの逃走スキルにご注目。

行きも帰りもハプニング。

おかえりなさい。



ムーミンは、どちらかといえばまわりに振り回されがちな印象。

「断るってことを覚えなくちゃ」

海で溺れている人を見つければ躊躇なく助けにいくし、フローレンが別の男のほうへいってしまっても、完全に突き放すこともできず。

しびれを切らして恋敵に決闘を挑むんだけど、あの勝ち方は笑うしかない。



スナフキンはコミックス原画の格好にもいくつかパターンがあるようだけど、服は緑と黒のみでかなりすっきりした配色。

ついでに肌が灰色でちょっとびっくり。

今回、彼はムーミン谷でお留守番です。

「やめとくよ。釣竿を修理しないと」

数えるほどしかしゃべらないけど、懐かしい優しい声。



さて行こう、とはなったものの、海は時化てきそうな雰囲気。

だからって明日にしようとはならないムーミン一家。

「運がよけりゃ嵐にのってひとっ飛びだ」

リビエラでは芸術家のモンガガ公爵と意気投合、セレブとして振る舞うことや自慢話に夢中なパパ。

ママともそりが合わなくなるし、知事の像を川にぶっこんだりやらかすやらかす。

最終的には警察から逃げる形でリビエラを去ることになるけど、我が家のハンモックに寝っ転がってご満悦。

スナフキンが毎年旅に出るように、そこにある幸せを忘れないために、またそのうちどこかへ行くのかも。



冒頭で海の向こうに沈みそうな海賊船を見つけるなり、見てこようと言い出したのはムーミンママ。

キャラは記憶のイメージとは別物と割り切って見ていたけど、ママだけはどうも慣れなかった。

「あんまり近すぎて好きになれなかったわ」

平成アニメに慣れてるとちょくちょく言い回しがきつい(笑)。

広すぎるスイートルームに戸惑ったりしながら、ママなりに快適に過ごそうと色々とやってみるものの、結局は浜辺でキャンプのような暮らしを開始。

ホテルからの高額な請求書には、「ご厚意かと思ってたわ」。

ムーミン屋敷にはいろんな人が訪れる。

ムーミン一家は訪れた人をもてなし、泊めて、時にはトラブル解決に奔走します。

突然の見知らぬ顔の来訪でもあたたかく迎え入れ、ホテルかもしくはそれ以上のことを、当たり前のように提供してくれる。

もちろんホテルの人たちからすれば彼らはとんだお客様に違いないけど、何とも自虐ネタ的な。

どこで何をするにもお金がかかり、自由に花を摘むことも出来ないママは、熱帯植物で自分の庭を作っていた。

モンガガ公爵はそれを素朴ながらも芸術だと評価したけど、見にきた人に見学料金を聞かれれば、当然のように無料で解放。

難破船から持ってきた種は、ママの愛情込めた世話によって立派に成長していきます。

それらは最終的に、ムーミン一家の帰りを知らせることに一役買いました。



そもそも、リビエラに行きたいと言い出したのはフローレン。

彼女は本来、「スノークのおじょうさん」です。

なので「フローレン」呼びに慣れている身としては、このキャストでそれが変わっていなくて嬉しかった。

とはいえ、やはり知っているフローレンの印象とはかなり違う。

「あれで美人って言えるなら、あたしはトロイのヘレンよ」

そんな焼きもちを焼くくせに、自分はクラークという男になびく。

おまけにクラークのどこがいいのか聞かれても、それを表す言葉がとっさに出てこない。

よくよく考えたらあくまで退屈じゃない程度の存在なのに、ムーミンの忠告をまるで受け入れません。

初めての南国で浮かれていたっていうのもあるだろうし、まぁどちらにしても、たぶん長続きはしなかったんじゃないかな。

最終的に、フローレンのカジノ運にムーミン一家は救われた、とはいえ、あの子も肝心なところが抜けてるんだよねぇ。



ミムラ姉さんと一緒に海賊に捕まっていたミイ(もちろん大人しくしてはいない)。

あれ、ムーミンたちとは初対面? なんて思う暇もなく、出発したムーミン一家のボートにちゃっかり潜伏していた彼女。

「だっておもしろそうなんだもの」

大波だろうと、無人島だろうと、アトラクションのように楽しんでしまう。

回転扉をぶん回し、ベッドでトランポリンのように跳ねまわる。

好きな場面は、ステーキを食べるのに一度はナイフとフォークを持つんだけど、結局手掴みでかじりつくところ。



で、どういうわけか海賊に捕まっていたミムラ姉さん。

しかも海賊を、とても男らしいと大層気に入っているようでした。

「捕虜を忘れちゃ駄目でしょー!?」

スナフキン同様にお留守番なので出番は少ないけど、台詞がいちいち面白い。

ミイとはつくづくいい姉妹なんだなぁ。



お祭りの場面にはスニフやスティンキーもいたけど、残念ながらしゃべったりはしない。

それから小さいネズミみたいなのがいて、当たり前に一緒についてくるけど、あまりムーミンたちと会話するようなことはなくて、そっちはそっちで別のドラマが展開されてるという感じ。



リビエラで出会う個性的なキャラクターの中には、木村カエラさんなどがゲストで声を当てている。

特にクラークのうざったさがなかなかすごくてびっくりした。
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