このレビューはネタバレを含みます
原作はこれ見たあとに読みました。
お子さんに見せるつもりなら自分は「楽しいムーミン一家」版をおすすめしますが、ストーリー内容は一部カットされていたり(石ころがしのシーンとかね)。
こちらも吹き替えはほぼそちらの声と同じなので、見比べると面白いと思う。
最近のぬるぬる動くアニメに慣れていると物足りなく感じるかも。
でもこのカクついたモーションが「世界が終わるかも」という雰囲気とあいまって、なんとも言えない雰囲気。
正直に言えばスノークや妹のおじょうさんの声などは記憶にあるのと違う方だったのは残念だけど、これはこれではまってるし、英語音声を聞いて納得。
こちらは呼び名も「ムーミントロール」「スノークのおじょうさん」きちんと原作仕様。
日本語的にはどうしても台詞回しがちょっとなぁと思う部分はあるけど、「嵐に運ばれた屑の塊の気分」なんて一週回って言ってみたい。
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いきなり赤く染まる画面。その端から現れる謎の生物。
初見では思わずこのオープニングをすっ飛ばす。
覚悟を決めてあとで見てみると、宇宙人だか虫みたいなキャラたちがサーカスみたいなことをやってる模様。
音楽も暗いような、そうでもないような。
これは何の映画なんだっけ? ムーミンは? と戸惑っているとタイトルが出て水浴び小屋が見えてホッとする。
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わりとゆるいテンポで進む映画。日本語版は白鳥さんの語りで更にふわふわ。
ジャコウネズミさんがジャコウネズミじゃないことを最近知った。
スニフがどうもネズミっぽい。小説スニフはちっちゃいんだよね。
パパ眼鏡似合う。
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いかだでおさびし山の天文台を目指す二人。
ニョロニョロがキャラ弁に入ってそう。
黄色いテントにスナフキン。出会い頭に「コーヒーを積んでたりしないかなぁ」。出たよ。
彗星について話したあと、スナフキンが二人をガーネットの谷に案内してくれる。
谷底にはいくつもの赤い宝石。見た目はそう、百均のさざれいs(殴)。
「自分で見てきれいだと思うものは、なんだって僕のものさ」
そうそう、さらっとこんなこと言うもんねスナフキン。
スニフが宝石を取りに下りるんだけど、奥の方に行くと大トカゲに出くわしてさぁ大変。こいつが割りと洒落にならないくらい怖い。トラウマ。
結局逃げるだけで精一杯だったことを嘆くスニフに、またしてもスナフキン語録が炸裂。
「見たものはカバンでなく、頭にしまって立ち去ればいい」
これほんと見習いたいけど、難しいんだよねぇ。
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険しい山道をゆく三人。嵐にあったりしながらも、何とか天文台に到着。
何とあと四日で彗星が来ることが判明。ついつい早足になるムーミントロール。
「きみ、あの彗星みたいに慌ててるぞ」
山登りは帰りの方が大変(知らなかった)。そもそも岩山の時点でかなりハードな道のり。
崖下に色々捨ててみたり、岩を落として遊んでみたり。よい子は真似しないでね。
なんてしてたらハプニング発生。ここで子安スナフキンらしからぬ貴重な怒号(?)が聴ける。いやこれはジェイd(黙)。
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スノークのおじょうさんまだかな?と思ってたらやっと森に移行。コンパスが駄目に。スナフキン曰く「苔でも方角が分かる」そう。
捕まり悲鳴をあげながらも「バカな木」と叫ぶおじょうさん。
「おいぼれ」「腐ったジャム」「バナナ野郎」。これは笑うしかない。
そう、アンゴスツーラを怒らせるのは本来ムーミンのセリフなんですよ。
スノーク平田さんじゃないのね…となったけどこの方もいい声してる。
「だ~れかぁ! この木が僕の妹を食べちゃうよ~!」
おじょうさんもですけどここのテンションとか英語版聴くとそっくりですよ。
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途中、売店で寄り道。してる場合じゃないけど、気晴らしは大事。
ムーミントロールとおじょうさんがラブラブっぷりを見せつけてくれる。スニフたちまで茶化す始末。
ここのちょい役のおばあさんがまた素敵。谷さんボイスもはまってる。
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海は水がなくなって砂漠のよう。みんなくたくたで、スナフキンもついにここで頭を抱えて座り込む。初見ではまだ原作知らなかったので、ここはわりと新鮮だった。
「戻ってくるよ」とムーミントロール。「とにかく落ち着こう」とスノークも励ます。
彗星がくるまであと二日。竹馬で海底を進むことに。
といっても木の枝をそのままだったりで、相当に歩きにくそう。
兄貴分二人の教え方が上手い。誉めて伸ばす。
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難破船には大蛸。ここでムーミンがあげた鏡が役に立つ。流石におふざけはなし(笑)。
「たまたまよ。でも毎日でも大蛸から助けてあげたいわ」
言ってみたい。言われてみたい。実際には遠慮したいけど。
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さてさて、やっと森まで戻って来たら、イナゴの大群。
それが行ってしまったと思えば今度は竜巻。
脱がされるわ切手も飛ばされるわのヘムレンさん。みんなスカートにつかまって飛んでいく。
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なんとか家に帰りついた一行はいよいよ洞窟に避難するために荷物を色々運び出す。
大事なものがありすぎるとバタバタするおじょうさん。スナフキンは手持ちのパイプと笛だけあればいいと通常運転。
もうすぐ彗星がくるというときになって、洞窟にジャコウネズミさんがやって来る。
この人はケーキを尻に敷いて「この先の人生ベタベタで過ごすのか~」って拭きなさい(笑)。
すねたスニフが子猫を探して出ていってしまう。それを探しにいくムーミントロール。スナフキンは来てくれない(仕方ない)。
彗星はもうすぐそこ。
洞窟の入り口にかけたカーテンがバサバサ揺れる。風がはいりこむわ、水も入り込んでくるわ。怖い怖い。
でも水はすぐ引いて、彗星もギリギリ掠めたくらいで遠くなっていく。
世界は滅びなかった。海も戻ってきた。
締め括りは至ってシンプル。家に帰ってパンケーキを食べよう。
幸せってそういうことなんだよね。