catman

突破口!のcatmanのレビュー・感想・評価

突破口!(1973年製作の映画)
5.0
1973年公開。ドン・シーゲルが『ダーティーハリー』の後に撮った傑作クライムアクション。最高!!始めから終わりまで好きなシーンしかない。最近は楽しく観られる映画の幅が広がりつつある中で、やっぱり俺はこう言う映画が一番好きなんだよなって再認識した次第。今回は改めてBlu-rayを購入して久しぶりの鑑賞、従来より映像も音声も格段にクリアになってて、色々と新鮮で素晴らしかった。

以下メモ

・曲芸飛行パイロット出身の農薬散布業者とは思えないほど、主人公チャーリーの肝の座った冷製沈着なBADASSぶりとそれをいつもの飄々とした力みの無い芝居で見せるウォルター・マッソー
・愛する妻との死別をドライに描写するハードボイルドな演出。遠景の爆炎が切ない…
・ダーティーハリーのサソリ並みに酷く痛めつけられるアンディ・ロビンソンのハイテンション悶絶演技
・そのロビンソン扮するハーマンの銃が S&W M29 6inchな件
・シーゲル作品に相応しい超ドSの殺し屋を嬉々と演じるジョー・ドン・ベイカーのハマりっぷり
・パスポート偽造屋の姐さんの熟れた色気と、チャーリーとの会話に溢れるリアルで小粋な台詞回し
"Mr. Varrick, you sure this money's good?"
"People kill each other for that kind of money."
痺れる〜
・シーゲル常連組でイーストウッドファミリーでもあるジョン・ヴァーノン、アルバート・ポップウェルのキャスティング。特にヴァーノンは持ち味を存分に発揮していて素晴らしい
・ヴァーノンに「背中を押して」と頼む仔猫を抱いたブランコに乗る謎の少女、とその謎演出
・チャーリーの隣人、イカれた婆さんの実に達者なおとぼけ演技。Soラブリー
・賭けピンポンでカモられる客はきっとドン・シーゲルのカメオ出演。間違い無い
・余りにも唐突過ぎるベッドシーンはお偉方から言われて無理やり挿入したに違いない。違うか
・脂の乗り切った黄金期のラロ・シフリンが聞かせるスリリングな劇伴。エレピのメロウな響きと、ボンゴとギロ(ジーチッチ)のラテン風味も玉乱珍
・計算高い知的なトリックが効いた無駄のない脚本
・捜査チームの「突破口を見つけたぞ!」というセリフの場面を俯瞰するカメラがジュワーっと上がるシーン
・クライマックスのチェイスシーンの迫力。からの、オープニングの映像に繋がるワンカットによるラストシーンの見事なカメラワーク 。凄え〜
catman

catman