貧乳界最強のキーラ・ナイトレイがホームレス系男子のマーク・ラファロと出会い、音楽を通じてそれぞれの結果にコミットする映画。
音楽系の映画で重要なのは音楽が口に合うかどうかという点だが、ここで僕は大敗を喫した。音楽以外の点では、男女の絶妙な距離感やちょうどいい挫折と敗北、ほどよいコメディ感とか徐々に増えていく仲間と音楽を楽しく演奏するシーンなど大好きなんだけども、そこで流れる音楽が好きではない。キャッチャーでポップだが、心は熱くならないし、主人公の音楽へのこだわりに比べると物足りなさは否めない。
さらに、主人公とその元彼氏が個に対してのメッセージを音楽に込め過ぎてるのがとても嫌で、アマチュアの主人公はまだしも元彼氏はプロなのだからもっとタチが悪い。
ある個人に対して本当に伝えたいことは培ったテクニックや手グセを抜いたところで伝えてこそだと思う。それを本業の音楽でやってしまう鼻持ちならない感じ。真に迫った感情の前には技術はいらないし、技術をもって伝えるのはとても卑怯な行為だと思う。技術を用いることのできない、心が剥き出しとなるような方法で行って欲しい。パンクは個ではなく社会に対して、技術を差し置いた感情で向かったから有意義だったんだと思う。パンクもそんな好きではないけども。
そんな風に考えてしまったので、映画内の音楽の魅力や価値観も心にこなかった。
ドラマとしては凄く好きで、素敵なシーンは多過ぎるくらいにあったが、音楽が邪魔をした。少なくとも僕には。