悪魔の毒々クチビル

ザ・レイド GOKUDOの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

ザ・レイド GOKUDO(2013年製作の映画)
5.0
イコサンガー!!トゥキダカラー!!!

家族の仇討ちの為、ギャングに潜入捜査する事になったイコさん、いやラマのお話。


まずですね、本日はイコ・ウワイスことイコさんの誕生日でございます!!!いやめでたい、こりゃめでたい。
子どもの頃はシラットの他に学校のサッカークラブにも入っていて、一時期サッカー選手が夢だったこともあるイコさん、今ではすっかりアクションスターとして活躍していますね。
もう40歳というとこでね、時が過ぎるのは早いもんで、これからもイコさんにはキレキレのシラットで活躍していって欲しいものですね。と同時に二人の娘さんのパパでもある訳なので、良いパパ・ウワイスとして家族とも仲睦まじく過ごしていって欲しいですね。

そんな訳で今回はこちら。イコさんの認知度向上に大きく貢献した名シリーズの2を今更ながら。
まぁちょっと俺がイコさん好きすぎるので、作品の事よりもイコさんの事ばっか触れていていつになく長文になっているだろうから、興味無ければ適当に読み飛ばしてもらって構わんよ!
一応イコさんやシリーズの豆知識も解説していくから興味あれば読んでくれよな!

邦題のインパクトのせいですっかり忘れられていますが、今作のサブタイトルは"Berandal"、インドネシア語で「犯罪者」と言う意味です。
で、実はこれ、監督のギャレス・エヴァンスがイコさんのデビュー作「ザ・タイガーキッド」を撮った次に作られる予定だった作品のタイトルでもあります。あ、主演はこっちもイコさんの予定でした。
内容は刑務所内でギャングのボスの息子と仲良くなった主人公が、出所後に組織同士の抗争に巻き込まれるというもので今作はこちらの内容を踏襲したものとなっています。
実際に製作もある程度進められていましたが、脚本の弱さもあり難航していた所を製作会社に「一旦他の作品を作ってみたらどうか」と言われ出来上がったのが1作目の「ザ・レイド」です。
で、続編として作れば脚本の弱さも補えるってことで今作が誕生しました。なので今作の脚本だけでなく大半のアクションシーンの振り付けなんかは、1の前から既に完成していたんですね。Blu-ray収録のメイキング映像でその一部が観られます。

前作よりも物語の幅が広がったのと、ギャレスの日本好きもあって日本人キャストの起用も話題になりましてそこに関して色々意見もあるでしょうがまぁ俺にとっては正直どうでもいいのでここではこれ以上広げません。

何よりもアクションですよ、アクション。
序盤の刑務所でのイコさんvs囚人のシーンからもう最高ですよね。
足元から手数の多い打撃を与える箇所がここは特に印象的でしたが、刑務所でのシーン、いや今作でも特に凄かったのがその後イコさんが牢で壁に向かって怒りの連打をするあそこ。壁ドンというか壁ドドドドドドドドドドドン。
アレやばくない?スローで観ると尚その凄さが分かったんだけど、普通にパンチしているだけでなく超高速で肘打ちや掌底を混ぜながらもスピードを落とさずに、両手同時でも打っているとかマジ化物。
これはアクション界のテクニカルデスメタルですわ。

因みに今回イコさんが組織に潜入捜査する時に名乗る偽名がユダ。これは「ザ・タイガーキッド」の時のイコさんの役名でもあり、細かいファンサービスですね。

アクションシーンはお気に入りばかりなんだけど、一番リピートしているのは終盤倉庫に乗り込んでモブ敵を倒しまくるシーン、最後の敵を手刀や肘打ちや両手パンチでボコボコにしたかと思いきや更に胸ぐら掴んで引き寄せてフルボッコにする所ですかね。
あそこもスローで観て真似したりしてるんだけど、イマイチ後半の手刀ラッシュの動きが分からんとです。
格闘に於いてリズムを大事にしていたようで、確かにこの連打含め彼のアクションは凄い馴染みの良いリズム感がありますよね。

ここでちょっとイコさんのファイトスタイルについても触れておきたいんだけど、まず数多くあるシラットの流派のなかでイコさんの流派は「ティガ・ブランタイ」。
YouTubeで動画観た感じだと、この流派の特色が一番出ていたのは「ザ・タイガーキッド」の頃なのかなと。いや他の流派全然分からんから何とも言えないんだけど。
この頃はイコさん、掌を猫の手みたいにして繰り出す掌底を多用していて改めて振り返ってみても今とはかなり違うんですよ。これがこの流派の技の一つっぽいのよね。
また初アクション映画ということで、ギャレス・エヴァンスからジャッキー・チェン映画を参考までに見せてもらっていたというのもあってか道具や通行人との即席コンビプレーといったジャッキー的なアクションもありました。

「ザ・レイド」からは掌底や手刀はあれど、このタイプの型は殆ど見られなくなった代わりに拳、所謂パンチ&肘の応酬頻度が多くなったかな。
これは恐らく「ザ・タイガーキッド」で「空手やムエタイと変わらんやん」みたいな批評があったことを受け、よりシラット独特の動きが際立つように考慮した結果でしょう。
ヤヤン・ルヒアンは「そんな批評なんか気にするな」と声を掛けてくれたみたいですね。
続編である今作ではそこからこれまでも使っていた両手パンチがめっちゃ出てきます。
恐らくイコさんの主演作では今作が一番多いです。
続く「ヘッドショット」「シャドー・オブ・ナイト」そしてドラマシリーズの「五行の刺客」の頃になってくると、今ではお馴染みと化した打撃の高速連打がよく見られるようになります。勿論「ザ・レイド」シリーズでも連打はありますが、その後の方がより顕著にはなっていますね。

イコさん、もといシラットって攻撃面だけでなく受けの動きも凄い魅力的でブロックしたりカウンターで肘入れたり、両手で腕抑え込んだりと格好良いんですよね。受けに関してはどの作品もそこまで変化は無いかな。
両手抑えは近作の方が多いか。

そしてそんなイコさんのシラットを際立てるアクションの振り付け、エグいバイオレンス描写、そして配役とどれをとっても相変わらずの素晴らしさ。シラットはトイレでも車内でも通用する!!
ベースボール・バットマンとハンマーガールのコンビとのバトルも見応えありありで、特にハンマーガール役のジュリー・エスティールは今作が初アクションだったとのことでトレーニングも相当頑張っていましたがその甲斐もあってか良い動きでしたね。
その後も「ヘッドショット」や「シャドー・オブ・ナイト」と次のアクション系の仕事に繋がっていっているのも納得。
BBB役のベリー・トリ・ユリスマンは「ヘッドショット」でもイコさんと戦っていましたが、実は前作でもモブ敵の一人としてイコさんとナイフバトルしていたっていうのはメイキング映像で初めて知りました。

ヤヤン・ルヒアンも別役で出演していますが、イコさんとのバトルは無いですし前作の様な活躍は期待しない方が良いです。
しかしながら大人数相手に素早く立ち回っていて今回も格好良かったのは間違いないです。珍しくヤヤンの連打も拝めますし。
余談ですがヤヤンの流派は「PSTDI」(プンチャック・シラット・トゥナガ・ダラム・インドネシア)で、他の2人と比べるとぶっちぎりで名前が長いです。

ラスボスのキラーマスターことチェチェップ・アリフ・ラマンとのバトルは前作以上に血塗れで壮絶。
因みに日本語表記だと「セセプ」が多いんだけど、実際の発音は「チェチェップ」です。
彼もまた有名なシラットマスターで流派は「パンリプール」と、イコさんと異なる流派同士のシラットバトルとなります。
互いに肘入れたり足元崩したりとシラットらしい技の掛け合いが最高で、このラストバトルの前にちょこっと闘った時はイコさんの負けでしたが、これまでマッドドッグを初めとした強敵との闘いを乗り越えたラマなので途中から結構圧して行きます。
が、そこからキラーマスターのカランビットナイフ二刀流で更に追い込まれるラマ。っていうかイコさんなのかラマなのか統一しろって話ですよねさーせん。
ここは途中でイコさんがカランビットを一本奪ってから、互いに斬り付け合い血塗れになっていきとんでもない迫力となるんですが、実はこのバトルはレンタル版、そして現在配信中のU-NEXTだと大幅にカットされています。
俺も初めて観たのはレンタル版だったので、後にBlu-rayを購入して観るとバトルの展開が全然違っていてびっくりしました。
それを踏まえてカット版を観ると確かにかなり不自然なカット割になっちゃっていますね。
なのでこれから観る人はそこは注意ですね。

そう言えば劇中でNine Inch Nailsの曲が流れていたり、前作のスコア担当がLinkin Parkのマイク・シノダだったりとギャレスって結構ロック好きなんでしょうか。

あと意外と切なくなる内容で、前作のラストバトルで上がったこちらとしてはあのオープニングは衝撃でしたね。
葬式のシーンで号泣している父親を観て前作で「親父は俺を嫌っているさ」と語っていた場面を思い出し、より悲しくなるっていう。
3の製作は残念ながら無くなってしまったようですが、ラマの物語としてはもうここで終わらせて家族の元に帰してあげるのがベストな気もします。

ただもっとイコさんの活躍が観たいからまた組んでアクション映画は撮って欲しいです。
まぁ去年はね、イコさんが暴行で訴えられて冷や汗モノでしたがどうやら双方が訴えを取り下げるという形で収まったようなので取り敢えず良しとしますか。