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イントゥ・ザ・ウッズのくりふのレビュー・感想・評価

イントゥ・ザ・ウッズ(2014年製作の映画)
3.0
【パン屋が襲撃】

ペラい映画しか撮れないロブ・マーシャルでは、一度心奥深く潜った上で、アゲアゲに飛びあがる本作は荷が重かったみたい。自分が森で迷子になってどうする。後半ようやく、本作ならではの面白さが見え隠れするけれど、あまりに口下手。一度で呑めないミュージカルってどうよ。

ちなみにミュージカル映画としては、こないだの『レ・ミゼラブル』級に退屈でした。

複数のおとぎ話を混ぜることが売りの筈が、まるで相乗効果になっていない。むしろ殺しあってる。シンデレラや赤ずきんってこんなに面白い話だったのか!と再発見できなきゃ意味がない。混ぜるな危険!にしてどうする。

なんか途中から、各キャラが背負う物語はどうでもよくなって、残ったメンバーで助け合いラスボス(大量破壊兵器彼女)と決めつけたアイツ倒しましょ、てな最悪アメリカンな帰結となりますが、ただ呆れました。同じマンガ屋さんとして、少しは『アベンジャーズ』見習った方がいいと思うよ。

あとこれ、つくりとしての元ネタはシェイクスピア「夏の夜の夢」じゃないかと思いましたが、それならそれで、語り口などもっとパクればいいのに。自力で賄えないならパクってくれた方がずっと助かりますわ。

縦軸として、家族からの自立と複合家族に拘っているのはわかりました。アメリカでは大きな問題なのでしょうね。展開の基となる、魔女が集めるようパン屋に命じるアイテムも、面白くもなんともないですが、すべて親から与えられたり、親との絆だったものですね。

で、集める中で事件を通し、血のつながらない複合家族が出来上がってゆくという。…しかし家族以外の異人は殺せ!というね。うん、確かにアフター・ハッピーエンドのリアルなアメリカではありました。

ディズニーがこういう自虐ロールプレイをすることは、私は価値的だとは思います。知る限りではこの流れ、『魔法にかけられて』辺りから始まっていますよね。とうとうここまで来たか、と生暖かく感無量。

彼ら自身、嘘で塗り固めた夢だけではもう、限界来ていることはよくわかっているのでしょう。でなきゃ『アナ雪』みたいな自己チュー賛歌やらないだろうし。でも願わくば、お金とるなら面白いもの作ってほしいです…I Wish!(爆笑)

興味深い点、ということでは他にもたくさんありましたが、とりあえずこんなところで。

<2015.3.30記>
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