yoshiya

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)のyoshiyaのレビュー・感想・評価

3.8
ジャン=リュック・ゴダールのようなタイトルコールから、『セッション』のようにドラム音が鳴り響くオープニング。そしてそこから最後まで一度もカットのない(ように感じられた)長回しのカメラワーク。120分。

呼吸することを忘れてしまうくらい強烈にひきこまれました。全編を通して鳴り響くドラム音と共にエンディング・ロールが流れだして初めて「はぁ」と一息つくことができたくらいです。

貫禄のある映画。そんな言い方が良いのか悪いのかはわからないですが、とにかくそう感じました。どこがよかったのか、と訊かれると上手く答えられないのですが、カメラワークのせいなのでしょうか、目で映画を観ているというよりも「身体で観ている」といった感じでした。そしてストーリーも『セッション』と同じく、いや、まったく違うものなのですが、輝きを手に入れる為に狂気へと変貌していく主人公の姿は『セッション』に繋がるものを感じました。そう、まさに、夢を追い求める男の物語。たまらないですよね。特にラストシーン。「えっ?」と思ったまさにその瞬間にドラム音、エンディング、エンドロール。

ドラム音に油断して引き込まれたら、それで最後です。エンドロールまで目を離すことができません。

この映画は、誰にでもお勧めできるような種類の映画ではないと思います。だけど、観て損をするような映画でないことは確かです。すごく好みが分かれると思います。好きかどうか、是非まだ観ていない方は試してみてください。昨年度アカデミー作品賞を、是非、体験してみてください。
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