このレビューはネタバレを含みます
谷ナオミ、にっかつ出陣への最後の(一般?)映画。と勢い混んで観てはみたが、なんかハダカで相撲とってました。
これでは脱出したくなるのも致し方ない。ただ、顔も妖艶ではなく、身体も持ったりとルーズ。一体『しなやかな獣たち』(72)までの2年数ヶ月、何が彼女にあったのか?
しかし、久々の石井輝男!
前半馬鹿やりながら、きっちり反体制と一人の男の迷いと彷徨いをベースに、骨太なドラマを作り、将軍・徳川綱吉の抱える“矛盾”を炙り出そうとしている。
流石東映、いや、石井輝男節だ。
青年・綱吉を支えるべく、妻を差し出し、夫婦で腹を切る名家臣、愛の為に目を潰し出家した大奥の女・・・さらに、柳沢“出刃の上”は、肉欲と私服を肥やす。
これぞエロとグロの東映映画の底力と言えよう。
それらを演じ上げる吉田輝雄(将軍)、小池朝雄(名家臣)、南原宏治(出刃の上)が、B級レーベルの顔として渾身。
ラストカットは、まるで黒澤明の『乱』(85)を思わせる。この無常の世に、盲が一人、佇むのだ。