かたゆき

記憶探偵と鍵のかかった少女のかたゆきのレビュー・感想・評価

2.5
記憶探偵――。
それは他人の記憶の中に入り込み、その人にしか知り得ない無意識下の真実を探り出すことによって、世の中に溢れる様々な難事件を解決へと導き出す特殊な職業だ。
業界最大手の一流企業、マインドスケープ社に所属するジョンもそんな記憶探偵の一人。
ところが2年前に妻を亡くしたショックから、彼は長いスランプに陥っていた。
このままでは妻の思い出が沢山詰まった家まで売り払わないと明日にも破産してしまう。
ジョンは上司に掛け合って、記憶探偵としての仕事を何とか廻してもらうのだった。
「大富豪の一人娘がもう1週間も飯を喰ってない。きっと過去のトラウマが原因だ。ジョン、どうだ?簡単な仕事だろう。すぐに向かってくれ」
藁にも縋る思いですぐにその大富豪の邸宅へと向かうジョン。そこには謎めいた言動を繰り返す16歳の美しい少女、アナが待っていたのだった。
彼女のトラウマの原因を探るため、ジョンはすぐさま彼女の記憶の中へと潜り込んでいくのだったが……。
他人の記憶の中に自在に入ることが出来る特殊な能力を持った探偵が彷徨い込んだ、そんな一人の少女の深層意識という名の迷宮を濃厚に描き出すダーク・ミステリー。

クリストファー・ノーランが生んだ傑作『インセプション』が公開されてから、こういう人の深層意識の中へと潜り込んでいく系の作品がやたらと流行ってますね~。
でも、その多くは『インセプション』とは比べるべくもない駄作ばかり。
本作もその例に漏れず、『インセプション』のような世界観を頑張って構築しようとして(主人公の妻が記憶の世界に留まり続けて鬱状態から自死へといたったという設定なんて、そのまんまですやん笑)、見事なまでにお話が破綻しちゃってます。
クライマックスで種明かしされる事件の真相も「いやいやそんな馬鹿な」と呆れるようなもので、僕は思わず失笑しちゃいました。
ラストのハッピーエンドなんて、無理やり捻り出した感が半端ない。

そして、こういう作品の一番の肝となるのはやはり主人公が彷徨い込む精神世界をいかにセンスよく映像化しうるかどうか。
確かに、監督がゴシック趣味全開の少女ワールドを濃密に描き出そうと頑張っているのは分かるのだけど、うーん、残念ながら僕はそんなにセンスを感じませんでした。
こういうのを観るといかにクリストファー・ノーランが天才かがよく分かりますね。

記憶の中に入り込まれるアナという少女を演じた子がなかなかの美少女で、そんな彼女が太ももムチムチのホットパンツ姿を惜しげもなく披露してくれたことを考慮して星+0.5しときます。
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