フジタジュンコ

ニンフォマニアック Vol.2のフジタジュンコのレビュー・感想・評価

ニンフォマニアック Vol.2(2013年製作の映画)
3.0
鬱3部作の完結作(の後編)。
Vol.2に登場するミア・ゴスちゃんもこの作品で映画デビューだったようで、これまたなんでこんな作品選んじゃったんだろうな…

後半はシャルロット様のターンだが、進行として時間がそんなに過ぎていない設定なのに(Vol.1で生んだ子どもがまだよちよちの幼児)、急にスイッチしたのは違和感しかなかった。
が、これも狙った効果なのだと思う。ピチピチのステイシー・マーティン嬢から、いきなりガリガリでメイクも服装も疲れ果てた中年女(もっと可愛い下着着せてあげてよぉ!)のようなシャルロット様へのギャップが、なんだか物悲しくなってくるのだ。正々堂々色情狂だったジョーも、年老い、体力を失い、衰えていき、傷つきすぎてセックスもできなくなってしまった加齢の残酷さをしみじみと感じる(もちろんデビューしたてのステイシー嬢にあれやこれやといった演出をさせることができなかったという大人の事情もあるかもしれませんが…)。

ラストには、この4時間にも渡るジョーと物知りおじさんとの"対話"は、互いにひとりごとをぶつけ合うだけだったことがわかる。4時間見てこれかあ、と、正直安直な印象はあるものの、人間なんて自分の閉じた世界にしか向かっていないし、知識も経験もすべてうわっつらでしかない、というトリアーならではの結論な気もする。普通の人なら静かに終わらせるような。いや普通の人はこんな映画撮らないけど。

Vol.1、2あわせて4時間と、非常に長いのですが、トリアー作品では一番見やすいかもしれません。見やすいと同時にあまり心に残るものはありませんが…私にとっては自分を痛めつけたいときに見るのがトリアーなので、その意味では物足りない。