かたゆき

ダーク・プレイスのかたゆきのレビュー・感想・評価

ダーク・プレイス(2015年製作の映画)
3.5
1985年、カンザス州のとある田舎町で起こった凄惨な一家惨殺事件。
シングルマザーだった母親とその二人の娘が残虐な手法で殺され、生き残ったのは当時8歳だった末娘のリビーただ一人だった。
容疑者として逮捕されたのは、なんと一家の長男である当時17歳だったベン。
悪魔崇拝に傾倒し地元の不良グループとも付き合いのあった彼は、唯一の生き残りであるリビーの証言により刑務所へと送られることに。
こうしてこの忌まわしい事件は解決したかに見えた――。
30年後、事件のトラウマから誰にも心を開けず、ずっと一人で生きてきたリビーももはや40になろうとしている。
刑務所に28年も服役している兄とは連絡すら取っていない。
そんな彼女にある日、殺人クラブと名乗る謎の団体から声がかかる。
それは、全国各地に散らばる未解決事件を独自に調査するという犯罪マニアたちの集団だった。
「君の家族の事件には、新たな真犯人がいるかもしれない。もう一度、一緒にあの事件を調査しよう」
兄の犯行を信じて疑わないリビーだったが、金のために渋々了承することに。
クラブのメンバーである青年ライルとともに関係者や服役中の兄にまで話を聞きにいくリビー。
彼女の脳裏に再び、あの30年前の悪夢の夜が甦ってくる…。
果たして事件の真相とは?
30年前に起こった一家惨殺事件の唯一の生き残りである女性が再び事件と向き合うとき、炙りだされる衝撃の真実を描いた重厚なミステリー作品。

シャーリーズ・セロンとクロエ・グレース・モレッツが初共演、監督はかつて『サラの鍵』というナチスドイツに運命を翻弄される少女を描いたヒューマンドラマの秀作を撮ったジル・パケ=ブランネールということで今回鑑賞。
とにかく、主役を演じたシャーリーズ・セロンの圧倒的な存在感はさすがというほかありません。
心に深い傷を負い、決して幸福な人生を歩んでこれなかったやさぐれた女性役を熱演しております。
また、男を翻弄する不良少女役を演じたクロエ・グレース・モレッツもなかなか嵌まっておりました。
やはりクロエちゃんはこういう役の方がよく似合いますね。

あの夜、本当は何があったのか――。
事件を巡り過去と現在を複雑に行き来する演出も分かりやすく整理されており、監督の演出力も冴えています。
特に過去と現在がリンクするクライマックスは見事な出来映えでした。
ただ、残念だったのは肝心の事件の真相。
ちょっといろいろと強引に詰め込み過ぎていて、いまいち納得できません。
ここらへん、もう少し頑張ってほしかった。
とはいえ全体的に見れば、なかなか見応えのある力作と言っていいんじゃないでしょうか。
かたゆき

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