かたゆき

リピーテッドのかたゆきのレビュー・感想・評価

リピーテッド(2014年製作の映画)
2.0
「私の名はクリスティーン。今夜も眠りにつくと今日の記憶は消えてしまう。そう、1日の全てを忘れてしまうの。朝、目覚めると頭の中は若いころの私。そう、この映像をいま観ているあなたのことよ、クリスティーン」――。
その日、ベッドの中で目を覚ましたクリスティーンは見知らぬ中年男性の腕に抱かれていた。
鏡を見るとすっかり歳を取った自分の顔。
男はそんな彼女に「戸惑うのも無理はない。僕は君の夫だ。君は10年前に事故に遭い、眠りに就くとその日の記憶を全て失ってしまう障害を負ってしまったんだ」と告げるのだった。
戸惑いつつも、これから会社へと向かうという夫を見送り、家の中を探り始めるクリスティーン。
たまたま見つけたアルバムで過去の自分を不思議な思いで見返していた時、突然彼女の携帯に電話が掛かってくる。
電話の相手は精神科医。夫に内緒で自分のカウンセリングをしていると言う。
その証拠に、クローゼットの靴箱の中に隠してあるカメラの映像を見ろと告げるのだった。
そこには、昨日眠りに就いて記憶を失う前の自分が、今の自分に向けて残したメッセージが収められていたのだった……。
果たして夫を名乗る男は本当に彼女の夫なのか?
どうして彼女は眠ると記憶を失う身体となってしまったのか?
精神科医を名乗る男は本当に彼女の味方なのか?

本作は、記憶が一日しかもたないある女性とその過去を描いたサイコロジカルなサスペンスだ。
リドリー・スコットが製作をつとめ、ニコール・キッドマンやコリン・ファースとなかなか豪華な役者陣が共演ということで、期待して今回鑑賞してみた。
ところがこれがなんとも残念な出来で、僕は正直がっかりしてしまった。
何が駄目かって、まずこの眠ってしまうと記憶がリセットされるという主人公の設定が単なる思い付きの域を出ず、物語に全く活かされていないところだろう。
サスペンスを盛り上げるのにこんな素晴らしい設定があるにも関わらず、どうしてここまでのっぺりとした展開になってしまったのか。
恐らくそれは、N・キッドマン演じるこの主人公が意外なほどあっさり現実を受け入れ納得してしまうところだろう。
切迫感が微塵もなく、一切感情移入できない。
サスペンスとして、これは致命的な欠点というほかない。

最後に明かされる真相もかなり無理のある――というより殆ど破綻してしまっている点など、もはや目も当てられない。
結論を言うと、ほとんど観る価値のない凡作だった。
設定自体は面白いものだっただけに残念だ。
かたゆき

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