石

ラブライブ!The School Idol Movieの石のネタバレレビュー・内容・結末

2.0

このレビューはネタバレを含みます

良くも悪くもテレビシリーズの焼きましです。

そもそもテレビシリーズで綺麗に完結していたものを引き伸ばした結果、この映画ではテレビシリーズで決着がついたアレコレの再確認に終始します。歌う理由、ミューズの存続、リーダーの素質、等々全てテレビシリーズで丁寧に解決してきたものをこの映画は"確認"しただけです。

まあ、無難な作りではありました。1本の映画作品としてバランスが取れてるかはさておき、多少の葛藤、キャッキャウフフ、ライブ、満遍なくあります。しかし、3月末までスクールアイドルだから!なんていう安易な理由でライブもバンバン行うのはテレビシリーズのテーマへの裏切りだと思うのですが、どうなんでしょうか。あの潔さに感動した身としては、"ミューズのライブ"をもっと丁寧に扱って欲しかったです。劇中、歌と踊り満載で全然有難味がありませんでした。

せっかく"ミューズの残したもの"という語り甲斐のあるテーマを持ってきたのであれば、そこをもっと掘り下げるべきだったように思います。前半の海外部分に尺を割き過ぎて特に終盤が駆け足になり、一番大事な"残したものへの反応"が描かれていません。努力の成果・結果・そして見返りはテレビシリーズで再三提示されていましたね、ほとんどが二期での回収でしたが。それが一番示されていたのが二期11話のライブアンコール部分です。学校の講堂での初ライブでは見向きもされなかったミューズが活動を続けた結果ラブライブに出場し、アンコールを求められる存在にさえなれたという、続けた事の・やり遂げた事の素晴らしさを明示してくれる夢のある話でしたよね。今回の劇場版の回収不足は一期と同じ過ちの犯し方です。

これは個人的な見解ですが、正直前半は全部削ってしまっていいと思うんです。スクールアイドル総出イベントを海外でやるという展開にすればスマートだったし、その後のテーマへの回答も丁寧に描けたと思うのですが。

ただ劇中の"ライブの曲"に関しても言いたいことがあります。知ってる曲がないよ……。CDで既に売られているその筋では有名な楽曲なのでしょうが、これ少なくともTVシリーズで使われた楽曲ではないですよね。まあ途中までは別に知らない曲でもいいですよ、可愛い曲だなぁくらいに思ってましたよ。TVシリーズの二期ラストで一期OPを使いましたね。個人的にはああいう展開を予想してたんですけどね、ラストライブは二期OPで締めるんだろうなと思ってたんですけどね、ラストも全然知らない曲でした。アガらない。しかも、なんですか。「みんなのことを思い浮かべながら歌詞を書いた」ってなにも歌詞にメンバーの名前を部分的にねじ込むことだけじゃないでしょ。稚拙‼︎
演出・展開にガッカリだし、こんなに新曲だらけだと「CD売りたいのかなぁ」といらぬ勘繰りまでしてしまい二重にガッカリしました。

以上、ファン向けの作品です。ドラマとしてのラブライブの完結作品ではありません。
ただこれがファンに支持されているということは、ファンにとっては今劇場版は求めていたものなのでしょう。であるなら連続性のある設定など無くしてプログラムピクチャー的に作り続けるのも一つの手ではありますよね。
石