このレビューはネタバレを含みます
ケチな復讐のためにここまで来たのか?
あーヤバい。これめっちゃ好き…
数ある復讐劇の中でも群を抜いた完成度。容赦なく心を抉られた。
まず特筆すべきは映像。大自然の圧倒的な崇高美に目を奪われた。自然の前では、人の命なんて脆弱なもの。過酷なサバイバル描写が、それを説き伏せてくる。
なのに、いや、だからこそ、それに抗うグラスの"生命力"に感動してしまう。グリズリーとの闘いや、馬の死体で吹雪を凌ぐシーンは泣きそうになった。
ディカプリオの熱演がとにかく凄すぎる。血だらけで、汚らしく、しばらく声すら出せない状況の中、確かな灯火を感じさせるあの眼力たるや。これがハリウッドスターの底力か。
てっきり敵対部族への復讐劇かと思っていたら、そういうストーリーだったとは予想外。本作のトム・ハーディは記憶に残る名ヴィランだった。
「復讐は神の手に委ねる」
途中で救ったあの女性も伏線となり、劇的な終末を迎える。最後まで、人と自然、人と神との関係を感じさせる映画だった。
そしてそして、鳥肌が立ったラストシーン。やられた。あのカメラ目線と、エンドロールに被せた"息づかい"は反則すぎる。
それでも"生きろ"と言うことか…