キャッチ30

レヴェナント:蘇えりし者のキャッチ30のレビュー・感想・評価

レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)
4.3
ディカプリオ演じるグラスは仲間との旅の途中で熊に襲われる。その後、足手纏いになると判断され、置き去りにされるわけだがあろうことか彼は仲間の一人に大切な息子を殺される。そして、死の淵から蘇った彼は復讐の旅に出る…。

今作は息子を殺した男への復讐は二の次であり、真の見方はグラスの魂の浄化である。このグラスを演じ切ったディカプリオの演技には脱帽だ。そもそも、彼が初めて注目された時、アイドル俳優としか見なされなかった。それが今回、死にかけたハンターというワイルドな役に挑んでいるだけあって、アイドル俳優の面影は無いと考えて良いだろう。

エマニュエル・ルベツキによる自然光のみを使ったカメラワークにも注目だ。芸術的とも言える映像美は素晴らしい。「スポットライト」が台詞で語る映画なら、今作は映像で語りかける映画と言える。

ショーン・ペンがインタビューで今作を『「地獄の黙示録」以来の傑作だ。』と評していた。それはきっと、目的に辿り着くまでの困難を描いた作品という共通項があったからに違いない。「地獄の黙示録」ではジャングルで、 本作では極寒の地で原住民や自然の狂気に襲われる。そういう意味でコメントしたとしたら納得だ。

アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の作品は「父親の苦闘」を描いてる。前作の「バードマン」や前々作の「biutiful」を観てもそう感じる。しかも、この三作でタイトルロールの父親を演じた人物はアカデミー主演男優賞に全員ノミネートされ、今作のディカプリオに関しては受賞に至った。