何故か寓話的な物語かと思っていたが、事実に基づいたフィクションで、ヒュー・グラスさんと彼の身に起こった出来事が実在したとはつゆ知らず、観ている間中ずっと衝撃の連続だった。
一体どうやって撮影したのかと思うくらいの本物を感じる映像に、正直見ていたくないことばかりが起こるというのに、最初から最後まで全く目が離せなかった。
一貫して「神は見ている」ということを感じたが、この映画を観ている自分がその視線を引き受けたような感覚になり、今までにない映画体験だった。
どうしてそこまでできるのか、というくらいの生命力を見せるグラス。何がそんなに彼を突き動かすのかと思えば復讐のため、というのが何とも虚しく、それを果たした後彼はどうなるのか…と何度も頭を過ったが、そんな考えを覆すようなラストがこの物語にすごく沿っていて、良かった。
このような経験をすることはおそらくないだろうけれど、いち個体としてこの世界に放り出され他の個体と生きていくとは、突き詰めればこういうことなのだと描かれていたように思う。
最近レオナルド・ディカプリオが足りていなかったと思い、まだ観ていなかった本作を観たが、グラスと同じようにどうしてそこまでできるのか、と思ってしまうくらいとにかくディカプリオの演技が圧巻かつ自然ですごい。
