序盤から既に生々しい。熊に襲われて美しく勝利をおさめるのではなく、半殺しに遭う。部隊のガイド役が任務を全うするどころか、足手纏いとなる。思い通りにはいかないところにも、現実味を帯びている。
所々、カメラレンズが露わになるとき(画面に水や血が滴るとき、曇るとき)、ああそういえば、これは撮られているわけで、今現に物語が流れているわけではないんだ、とふと我に返る。でも脳内では、至極臨場感を伴って、場面が展開していく。「リアルを創っている」のだ。
グラス(レオナルド・ディカプリオ)の生命力はさすがに脚色ともいえるけれど、何度も死の淵から蘇る彼を目に、「生きる」ということについて、考えさせられる作品。
アカデミー主演男優賞含め、数々のタイトルを獲得したのも納得させられる。相当過酷なクリエイションだっただろうとその労力に感服せざるを得ない。
思えば坂本龍一さんはこの頃から闘病生活となっていたのだろうか。雪中の息づかいまで、音響効果も大変素晴らしい作品でした。