髙田由美

沈黙ーサイレンスーの髙田由美のレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
3.8
キリスト教の国の監督がこれを映画化したというのは、なかなか凄いことだと思う。

重く長い話だが分かりやすくスッと理解でき、最後まで興味が続く。さすがマーティン・スコセッシ監督と日米共に超一流どころの俳優陣。ケチのつけようがない。

欧米は言うまでもなくアジアの他の国々の中でも、日本ほど宗教に関する意識が低い国は無いのではないか。インドの方と話した時もフィリピンの方と話した時も、彼らには確固たる宗教観があり信じる神を持っていた。生まれた時から当たり前に宗教と共に生きている彼らに、日本における宗教のことを聞かれて碌に答えられず「日本には多くの宗教があるから争いを避けるためにお互いに宗教の話題は避けるんだよ」とか適当なことを言って逃げた記憶がある。
仏教は生きていた人が仏になるって考えだし、神道はその辺のもの全てに神が宿っているって考え方だし。他宗教の様に人と別次元に絶対的な何かがいるって感じではない。この映画の中でのイッセー尾形の語りで、そうなってしまう日本人の気質というものに何となく合点がいった気がした。

1600年代の日本に、あんなに英語を理解する人がうじゃうじゃいたとは思えないけどね。
髙田由美

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