垂直落下式サミング

サボタージュの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

サボタージュ(2014年製作の映画)
3.2
スキャンダル後『ラストスタンド』の老保安官役でトミー・リー・ジョーンズばりの深みを携え映画界にカムバックしたシュワちゃん。本作は彼がデヴィッド・エアーとタッグを組んだシュワ主演作としては異色のフィルムノワールだ。
軍隊経験者の映画人としてハリウッドで無二の作家性を持つエアー監督の演技演出法は独特で、自身の持ち味を発揮するため作品選びにも一貫したクレバーさが感じられる。
シュワちゃんの髪型ヘンなの~と思ってみていたら『特攻大作戦』でリー・マーヴィンがあんな感じの髪型をしてたのを思い出した。まぁアメリカの戦争映画に出てくる将校は大体あんな感じの軍人カットだし、『フューリー』のブラピも刈り上げてたから別に大した発見じゃないんだけど、監督の次回作『スーサイド・スクワッド』はDirty Dozen最新版ときた。おっ…なんか僕の勝手な想像が監督の嗜好と繋がりそうな感じ。
なんだけど、エアーの持ち味であるマチズモ表現主義とシュワルツェネッガーから放たれる牧歌性はどうにも食い合わせが悪かったようで、この作品からは一本映画を見終えたら得られるべき満足感が充分に得られなかった。具体的に何がどうダメってわけじゃないけどお話として散漫で、骨太な銃撃戦とゴア描写で映画秘宝シンドロームを患う私を煙に巻きながら、最後はシュワ作品のセオリー通りに軟着陸したという印象。
注目ポイントはシュワちゃんの職場に『ランボー』のポスター(2だったかも)が貼ってあります。シュワちゃんは彼氏の写真飾るタイプよね。美術さんBLわかってんじゃん。優秀なやおい作家によくある感性の持ち主だ。