もりいゆうた

サボタージュのもりいゆうたのレビュー・感想・評価

サボタージュ(2014年製作の映画)
4.4
めちゃくちゃ面白かった!シュワちゃん若い頃よりも今の老体の方が哀愁があっていい味出てる!!とにかく哀愁がすごい!

内容は、雑な脚本の救いがない「イコライザー」って感じ。

フィルマークスでは☆3.1、Amazonでは☆3.3と、本来なら絶対に見ないであろう点数だけど、ホラーやスリラー系は面白くても点数低くなりがちな法則により、これは何かあると思って見てみたらめちゃくちゃ面白かった。

ちゃんと自分の目で見て確かめて良かった。物語がところどころむちゃくちゃで、もちろん評価低い理由もわかるけど、だいぶ楽しめました。(嫌いな人はほんと嫌いなはず)

この映画なんでこんなむちゃくちゃなんだろうと思って調べたら、もともと3時間あったものをプロデューサーに短くしろと言われて109分にされて、かつエンディングもまったく違うものに変えさせられたみたい。しょうがないね。

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自分が何かを作るときはめちゃくちゃロジックを気にするのに、お客さんとして見たら意外と気にならなくて、雰囲気を楽しんでるんだなぁと気付きました。

作り手は「本物」を求め、よりクオリティの高いものを作ろうとするけど、お客さんは「わかりやすさ」みたいなもの求めていると言い換えることができるかもしれない。


DWANGOの川上量生さんがジブリに弟子入りしたときの卒論(のようなもの)として書かれた『コンテンツの秘密』の中でこんな話が出てきます。

ジブリの鈴木敏夫プロデューサーいわく「すべての大監督は最終的にストーリーではなく表現に行った」

映画を見て、話のつじつまが合わないと文句を言う人がいるけれど、話のつじつまなんか合ってなくていいんだそうです。

「本当に凄い映画を見たときは、観客はストーリーなんて気にしない」

よくストーリーのつじつまが合ってないことにケチをつける人がいるけれど、問題なのはつじつまが合ってないことではなく、映画が面白くなかったことなんだそうです。だからこそ、つじつまが合わないことが気になると、鈴木さんは断言しました。


「サボタージュ」を見てこの話を思い出しました。

ちなみに普通は脚本に合わせて映像を作っていきますが、宮崎駿は映像に合わせてストーリーを変えていくそうです。

頭のなかに浮かんだ良い場面、素敵な映像をつなげるように間を埋めてストーリーをつくります。

だからストーリーとしてあった方がいい場面も、それをちゃんと描けないと判断したらやりません。

鈴木さんいわく、「宮崎駿は映画を見るときも表現しか見ない」と言います。

(だから宮崎駿のジブリはストーリーがしっちゃけめっちゃかになってるのか!

ちなみに新海誠さんは音楽に合わせて映像を作っています。

だからあの「秒速5センチメートル」の映像と山崎まさよしの「One more time one more chance」とがばっちりはまっているのです。

たまに「山崎まさよしの曲と映像はまりすぎじゃない?奇跡?」と言う人がいますが、音楽に合わせて映像を作っているから、はまっていて当然なのです。「君の名は」も「天気の子」も音楽最高ですね!)


僕は脚本(ストーリー)が一番大事だと思うけども……よくよく考えたらこのへんの話わからなくもなくて。

というのも僕は大好きな新海誠さんの作品を見るときはストーリーをあまり気にしていないからです。

例えば「雲のむこう、約束の場所」という作品がありますが、ストーリーひどいんですよ(笑)

でもまた見たいなぁと思ってしまうのは、もう映像と音楽がとても素晴らしいから。ストーリーを気にしていなかったんです。

例えば、ジブリの「トトロ」があんなに再放送されてるのに視聴率がとれるのは、ストーリーではなく表現(映像)を見ているからなんですね。

宮崎駿の作品の魅力がストーリーにあったとしたら、こんなに何度もお客さんに見てもらえるわけがありません。ストーリーが目的だったら、わかってしまえばもう見る必要がないからです。

言われてみれば、どんでん返し系の映画が好きでよく見るのですが、そこが主眼に置かれている映画はもう一度見ようとは思いません。結末を知っているからもう二度も見なくてもいいかなぁって。

ストーリーと表現問題、難しいなぁ。

僕はマンガとか映画は絶対ネタバレしないで欲しい派なんですが、時々、ネタバレまったく問題ない派(むしろネタバレして!くらい)の人に出会うときがあってしかもちょこちょこいて。なんでこんな違うんだろうなぁと思ってたけど、シンプルにストーリーを楽しむ派と映像を楽しむ派に分かれるのかなと書いていて思った。


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フィルマークスのプロフィール欄に「好きな俳優はアーノルド・シュワルツェネッガーです」とついに入れてしまった。

今まで好きな監督の作品を見ていくことはあっても、好きな俳優で見る映画を決めるってことはしたことがなかっただけに、こんなにはまってる俳優さんは初めて!

シュワちゃんもイーストウッドみたいに90歳になっても現役ばりばりでいてほしいなぁ。そしたらあと15年は見られることに!そしていつかまたジェームズ・キャメロン監督と一緒に映画を作ってほしい!!!!