女

小川町セレナーデの女のレビュー・感想・評価

小川町セレナーデ(2014年製作の映画)
3.9
近所に小川町があって、「まさかのご近所ムービー?」という軽いノリでレンタル。…あ、いや、小川町って全国にあるわね、あっちこっちに。実際は架空の町設定だったけど、川崎市全面協力のもと撮影したそうな。



いやーまず、キャストが中途半端にすっごく良いです!…あ、“中途半端”ってのは最高の褒め言葉。どの役者さんも力んでないし、脚本に溶けてる感じが素敵で。白ける一歩手前で展開する軽めのギャグ要素も、ゆるくてあったかい感動も、私は好きでした。


んー、あたし、須藤理彩さん好きだなぁ!
この役を演じられる女優さんってあまりいないと思うのです。性別の葛藤を抱く“彼女”を愛し、“彼女”が“男”であった時に出来た奇跡みたいな娘を、女1人で逞しく育てるスナックのママ役。経営難で取り立てとか来たり。…こうやって書くと重いのだけれど、須藤さんのカラッとしていて潔い笑顔と演技のおかげで、ほっこり軽い作品になっていたと思うの。

それにやすけんも、あっ、大人計画の小林きなこさんの“オカマのマネ”も、みーんな良かったなぁ。うん、やすけんキレイ。ボソボソ喋ってて、何言ってるか分からないけど、キレイ。


始まって、なんとなーく思い出したのはペドロアルモドバルさんの『オールアバウトマイマザー』。まぁ死人が出ないのと、ラテン系じゃない分こちらの方が爽やか仕立てですが。
始めのモノクロシーンでやすけんが呟く、「あんたが男だったら…」で、切なすぎて悶絶しました。好きなのに、近くにいるのに、なんかどうしようもない理由でめっちゃ遠い!でも好き!…この始まり方は良かったなぁ。

終わりの私立恵比寿中学のお歌も良かったなーと。

なんて素敵な日々 どんな悲しくても
なんて素敵な日々 ああ しあわせだ
女