Oh

ゴッド・ヘルプ・ザ・ガールのOhのレビュー・感想・評価

3.3
拒食症のため治療中の少女イヴは、病院を抜け出した先でジェームズとキャシーという若者と出会う。そして三人は音楽活動を始めることになり、バンド結成に奔走する。特にイヴは拒食症に苦しんでいて、歌うことや曲の制作を心の拠り所としている。音楽って自分の感情を投影するだけでなく、自分を慰めたり鼓舞したりする作用も持ち合わせていると思うんですね。だから彼女達は劇中で歌い踊り続ける。音楽を通じて、悩ましげな若者達がそれぞれ成長していくというストーリー仕立ても良い。

洋楽に明るくないため、僕は存じ上げなかったんですが、監督兼脚本のスチュアート・マードックはグラスゴー出身のバンド『ベル・アンド・セバスチャン』のフロントマンなんですね。で、彼らが2009年に発表した同名のアルバムが今回の映画のコンセプトになっていると。

だから、この作品はどこで勝負してるのかというと、そこはやっぱり音楽なんですよね。曲の良さがこの映画の肝であり、ここは映画を見る人の好みに拠るところが大きいと思います。僕自身はどの曲も素敵だと感じたし(鑑賞以来、毎朝サントラ聴いてます)、曲のトーンに応じた演出や振り付けは洒落ていて愛くるしい。鑑賞中は「素敵…」以外の感情を奪われました。

ただ、ミュージカルのパート単体の高揚感はあれど、それらはあくまで断続的な良さでしかなくて、一つの映画の連なりとして見ると それぞれの良さが結びついてこない。作り手側のセンスやメッセージ性は素晴らしいと思う一方で、映画としてのまとまりやコントロールはいささか荒いようにも感じました。
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