あまり知られていない中村登監督の名作.だいすきで時折鑑賞している.
野口久光の題字(タイトル)がおしゃれ.
タイトルシークエンスからブルーの映像が素敵.和と洋が調和している懐かしい都会的な映像ながら、背徳的で哀しくも儚く堕ちて行く女の姿が、大変私このみで内容に夢中になれる.
桑野みゆきのファッションがセンス良く、そしてこの作品の平幹二朗がとっても素敵.ダメ男というよりも神経質でかなり高貴な変態が良く似合っている.
どうしようもない事態になっているにもかかわらず、芳江の実家では、何も知らずに口喧しい事を言って、更に芳江を精神的に苛立たせている辺りの描き方が上手い.
英次に出逢ったばかりに、人としての道にどんどん外れている時、旧友にばったり遭遇する辺りも、女心が良く描かれている.
この作品のもうひとつの見処は、ちょこっとしか登場しない菅原文太!凄い存在感とオーラである.
綺麗な映像と音楽、そして懐かしい昭和映画で満点を付けたいけれど、いささか内容が暗すぎる……