安堵霊タラコフスキー

単純な出来事の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

単純な出来事(1972年製作の映画)
4.5
アミール・ナデリがCUTの劇中で名前を取り上げた作品の一つということで前から気になっていて、この度CUTの世界に行って西島秀俊に見せてもらった。(大嘘)

で、この内容といえば一人の子供が親の看病とか手伝いとかさせられて町中走り回ったりそうしてると勉強が疎かになるから学校で先生に注意されてばかりで学校が終わったら家帰って飯食って寝て……っていう繰り返しが殆ど続くだけなのだけど、その様がまるで社畜みたいなのに加えて子供にまるで良いことが起こらないから見ていて鬱々とするし死にたくなってくる。

で、そんなクソったれな日常の中でも変化というものは多少あるのだけど、それも前述の通り子供にとって不幸と呼べる部類のもので、最後にちょっと良いことあるかと思わせても結局お預け食らわされるから同時代のアメリカンニューシネマ並みに遣る瀬無い気持ちで見終わることとなる。

しかもそんな暗い話をネオレアリスモと小津をかけ合わせたような写実的タッチで描いていて、暗いけど映像的には好みだから非常に複雑な気分にもさせられる。

ということで鬱な気分になるものの映画としては個人的に良質なものと思えたわけだが、CUTの西島秀俊はムシェットとかこれを客に見せて死にたい気持ちにでもさせたかったのだろうか。

というかこれは他のイラン映画を見ても思うことで、イランには子供に愛情を持って接するという概念が無いのか。