俄かには信じられない、本当のお話。
素晴らしいドキュメンタリー。
地方オークションで青年が落札したネガのプリントをブログにアップした所、大反響。
ネガの持ち主は無名の乳母で、既に亡くなっており、存命中には一枚も写真を公表していなかった。
もし、発表されていれば、20世紀の写真史が変わったかもしれない傑作を、誰にも知られず撮り続けていたヴィヴィアン・マイヤーとは、いったいどういった人物だったのか、、?
知れば知る程、謎が深まるその人物像。子供達に慕われ、時に憎悪される矛盾した側面を併せ持つ女性。
被写体から、あれだけの表情を、ユーモアを、悲哀を引き出す写真を撮れる女性が、単純な人間であった訳は無い。
創作という行為は、常に自己顕示と隣り合わせだと思うのですが、この人の場合はそうではな無かった事が本当に不可解、且つだからこそ、興味深い。
彼女が写真のプリントを検討していた、というメモ書きが出てくるけど、結局存命中には、最後の一歩を踏み出していない事は事実ではあるし。
観た後も、深く広く考えたり、想像したり、自分の価値観を激しく揺さぶられたりする所が、ドキュメンタリーの本質だと思いますが、まさに、そんな一本。