ニコケイ主演の「ドリームシナリオ」が面白かったので、遅まきながら監督クリストファー・ボルグリの前作を。
割とよくある北欧から定期的に送られてくる厭な感じの諧謔ドラマだろうなーと思っていたら予想以上に映像や演出のアイデアが凝らされていて面白かった。
すごく奇抜な状況に一見思わせつつも、人間誰しも抱えている捻れた精神的欲求を容赦なく暴露していく。
はじめはニチャニチャ見ていたのだけれど、シグネの抱える欠落と異様な行動に、思わず共感してしまい、思い当たる節もありゾッとしてしまう。
自身の優位性を誇示するためにステータスに拘り、知らず知らずのうちにソレに縛られ逃れられない。
SNSの普及で容易に他者との自身のボーダーがよりあやふやになった世界。
こういった病理とは、もはや誰も無縁ではいられないのか。
キャスト陣も重なることもあり「わたしは最悪」を想起するが、まるで表裏のコインの様な作品。
あちらは相応の意地の悪さの中にそれでも明日への肯定を繋げていく映画であったところ、こちらはどうにも切なく虚しい幕切れだが。