菩薩

螺旋銀河の菩薩のレビュー・感想・評価

螺旋銀河(2014年製作の映画)
3.0
自己と他者と言うか、自分の意思でどうにかなる世界と、自分の意思ではどうにもならない世界との交差及び逆転、そして収斂なんてのがあたかも『親密さ』っぽかったりもするのだが、何が怖いってこの作品の中には東京と大阪(及び京都?)が混在していて、この物語の舞台がどこであるかが最後まではっきりしないところである。果たしてこれは狙ってやってるのか、ただ雑に繋げたらそうなってしまったのか…。例えばキーとなるコインランドリーはおそらく品川付近(大井)だし、外観が映しとられるのはJR市ヶ谷駅のホーム及びその周辺であったりするが、綾が利用しているのは京阪電車のなにわ橋駅だし、寛人の車は品川ナンバーで、その付近には多摩ナンバーの車も停まっているが、あの埠頭はエンドロールから察するにコスモスクエア海浜緑地(大阪市住之江区)だし、同駐車場には和泉ナンバーの車も停まっている。またこれは単なる偶然だと思うが、幸子が綾を探しにオフィスに赴くシーンで映される時計は12時39分を指しており、これは綾が1人でコインランドリーに赴くシーンの時刻(と言っても恐らく12時間後だが)と一致している。鏡像やガラス面の反射の多用なんてのもまさにこの作品が自己同一化をテーマをしているのを物語っているのだろうし、太陽と衛星の様に、はたまた自我と感情の様に振り回し/振り回された先の自立、何者でも無い私自身の確立があの微笑ましきラストシーンなのだろうが、まぁこの映画が面白いか面白くないかで言えば…。とりあえず綾役の子のお団子だけは可愛かったから、まぁ良しとする。
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