品川巻

4分間のピアニストの品川巻のレビュー・感想・評価

4分間のピアニスト(2006年製作の映画)
4.7
2度目の鑑賞。
ここまで評価が二分する映画も珍しい。
何故こんなに鬱になる映画を何度も観てしまうのか分からないけど、激辛好きの人に似た気持ちだと思う。

戦争、LGBT、犯罪、性的虐待...
これでもかと重いテーマばかり袋詰めにしたような作品なので、オススメして気に入ってもらう方が無理のある話だけど、それでも私は推し続けたい、、(友人に薦めたら不評だった)

義父との関係性や援助の不明瞭さは物語を語る上で割愛してはいけない部分だし、ジェニーと先生の途中の関係の違和感も含めると作品の「粗」はあれど、そんな「粗」さえどうでもよくなるほど、それ以外の全てが最高

義父から「モーツァルトの生まれ変わり」にさせられないように彼女が逃げ続けたピアノは、今もなお彼女に取り憑き、縛り続ける。そしてそんなジェニーは皮肉なことに、「ピアノ」でしか自己表現ができない体になっていた。
演奏は彼女自身の叫びであり、取り憑かれてしまった自分を許すための儀式に近い。
人々が無理矢理蓋をしてきたものをこじ開けてしまうような激しい打音は、聞く者の鼓膜と胸を震わせる

重い映画が苦手な方・怒声にトラウマがある方は恐らくストレスフルになるので、最後の4分間だけでも!!
品川巻

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