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野火のyukoのレビュー・感想・評価

野火(2014年製作の映画)
3.8
南方戦線の惨状は筆舌に尽くし難い地獄の様相であった。地獄にもこんな光景は無いと言った人もいる。現実は映画以上に凄惨だったろう。生き抜く為のサバイバルと、敵兵ではなく飢餓や疫病との壮絶な戦いは、水木先生の総員玉砕せよを思い出させ、ただひたすら言葉を失う。

生きるなら、食うことから逃れられない。飢餓が正気を失わせる。極限状態の中で、みんな人間じゃなくなっていった。遠く離れた美しい島で、誰からも見捨てられ、命を散らせていった兵士の無念よ。

リアルを追求して映像の演出が追いついていない面もあったが、伝えることの熱意と監督の映画製作に対する執念に意義を感じた。市川崑作品も観たい。
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