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野火のmitakosamaのレビュー・感想・評価

野火(2014年製作の映画)
3.7
スカパーにて。話題になってたけど、劇場には行けなかったんだよな。

市川版のリメイクだが、制作費が集まらずほぼ自主制作だったらしい。
塚本晋也ですら制作にそんなに難航するのか。日本映画界はクリエーターにもっと出資せぇよ!
学生時代に原作小説を読んで以来の映画化だというから執念だよなー。映画が評価されて良かったよ。僕も劇場に行き金を落としたかった。

市川版とストーリー展開がほぼ一緒なので、演出の差がこれでもかと明確になったね。
モノクロからカラーになったこともあるが、とにかく自然が美しい。
ジャングルの緑葉、青い空、眩しい日差し、夜の静寂。

そしてこの自然の美しさが、兵士の餓えに対して一切の腹の足しにならないという皮肉ね。神々しいまでのジャングルの自然美が悪魔的に輝くとでもいいましょうか。
自然の幻想的な美しさの中に劣悪な死骸がゴロゴロ転がっているというアンバランス。
低予算だというが、死体のオブジェは相当作り込んでるなぁ。予算の殆どをそこにつぎ込んだんだろうね。
またスプラッタ表現がそこそこエグい。血がドバドバ。腕も足も脳みそも吹っ飛びまくる。

市川版の田村が割と飄々としてたのに対し、塚本本人が演じた田村は生の執着をとても感じる。ラストの違いでもそれは明確だね。
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