書庫番

野火の書庫番のレビュー・感想・評価

野火(2014年製作の映画)
4.7
2,015年7月25日 立川シネマ・ワンにて鑑賞。

大岡昇平の戦争文学の代表作を塚本晋也が自ら出資し、監督、脚本、主演を務めた『野火』。
原作は未読、1,959年に公開された市川崑監督版も未見です。

世界のツカモトが構想20年を費やし、身銭を切り、安保法案で揺れる戦後70年の本年に公開に漕ぎ着けた渾身の一本。
作品の持つ凄まじい熱量にただただ圧倒され、鑑賞後も暫く席を立てなかったです。
戦争の凄惨な現場と、人から理性が抜け落ちて人外のものに堕ちていく様を追体験する、濃密な1時間27分。
その為か、グロテスクな描写が苦手な自分がスクリーンから眼を反らす事無く作品世界に没入していきました。

初日舞台挨拶で塚本監督が言った、、「若い人にとって、この作品がよいトラウマとなってほしい」の言葉通り、一人でも多くの戦争を知らない世代の心に刺さってくれることを願います。
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