かたゆき

スパイラル 危険な関係のかたゆきのレビュー・感想・評価

スパイラル 危険な関係(2011年製作の映画)
2.0
美しい妻と最愛の息子にも恵まれ、一見幸せそうに暮らす産婦人科医ジェフ。
だが内実は、もう随分と前から妻とはセックスレス状態、夜な夜なネットでエロ動画を盗み見ては一人で処理している。
自慢の庭も夜中に現れるアライグマに荒らされ、隣で独り暮らしをしている変わり者の女性との関係にも悩まさ、積み重なったストレスはそろそろ限界に。
気分転換にと、友人の妻と2人で飲みに行ったところ、彼女も夫とのセックスレスに悩んでいるという。
共通の悩みに意気投合し杯を酌み交わしていたら、最初はそんな気もなかったのに、ジェフは勢いで彼女と“一線”を越えてしまうのだった。
浮気とはいえ、久し振りのセックスにすっかり浮き足立つジェフ。
だが、彼は知らなかった。
そのことが、とんでもない負の“スパイラル”に彼を巻き込んでしまうことを――。
たちまちのうちにその友人に浮気がばれると彼は大金を払うように脅され、それを偶然知った隣人の女からはストーカーされ、妻とはますます仲が悪くなり、庭を荒らすアライグマはさらにその暴挙をエスカレートさせるのだった。
そんな中、ジェフは心の慰めを得ようと、ジムで知り合った腎臓病を患う黒人男性に仕事を紹介したのだったが……。

トビー・マグワイアをはじめとする豪華俳優陣競演で贈るのは、そんな人生の袋小路に迷い込んでしまった1人の男の騒動をシニカルに描き出すブラック・コメディでした。
まあ、やりたいことは分かるのだけど、さすがにエピソードを盛り込みすぎじゃないですか、これ。
主人公ジェフに降り掛かる不幸というのが、
①友人の妻との浮気がバレその友人に脅迫される。
②隣人の気が変な女に惚れられ執拗に言い寄られる。
③ジムで知り合った男は腎臓移植を受けなければあと数年しか生きられない。
というどれもこれも1本の映画に出来そうなほど濃いものばかり。
ストーリーが進んでいけばいくほどそのエピソードが一向に纏まっていかないというのが本作の致命傷だと僕は思います。
まさに「散漫」というしかありません。

それにこの監督のユーモアセンスとは合わなかったのか、僕は最後までほとんど笑えませんでした。
唯一笑えたのは、最後に全てを知った妻が発する、「信じられない!こんなことが現実にありえるの?」という言葉。
それはこっちのセリフだっつーの(笑)。
最後のオチも後味悪いし、主人公がときたま見るアライグマの妄想もよく分かんないし、僕は本作のいい観客とはなれなかったようです。
かたゆき

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