このレビューはネタバレを含みます
妻を失い 自分の結婚生活に愛があったのかを見つめ直す という物語としては割とありがちなスタートだったが 「分解」をテーマに主人公の感情の在処と愛の所在を丁寧に描いていく過程が素晴らしかった。
結局 愛なんてなかったのかもしれない と思わせる描写が段々と増えていく 細かな演出 隠された 妊娠 主人公に残したメモはカスみたいな内容ばかり。では、絶対 日常の中に愛がなかったのか といえば 必ずしも 絶対と断言出来る描き方をしていない繊細さが良かった。
義父のキャラクターも一本筋が通っていて魅力的だったし、だからこそ娘の死も 主人公への落胆をする様も 娘による孫の密かな堕胎を知ったときには そのつらさに共感できた。
ラストの奥さんが元々行っていた福祉関連事業を主人公が提案し引き継ぐというのは 奨学金云々より とても筋が通っているもので 納得できた。
クリスとの関係も面白かったし、感情や問題を分解しクリアにしていく主人公との相性も良く シーンとしても印象に残り楽しめた。
手を出したテーマは多い割にしっかりと全体的にまとまっていて すごい満足感のある作品だった。あと、これは当たり前ではあるのだが ギレンホールがカッコよすぎる。