gigigi

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのgigigiのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

ここにさらりと感想を書くには深く濃い映画だった。先に飛行機内でこの映画を観ていて、字幕なしで眠気と戦いながら観てしまったので、疲れ果てて最初の30分程しか記憶がなかった。
妻が死に、新たな女性と出会う。ああこれは単純にナオミ・ワッツとヤっちゃって、自分が感じた(というか感じていない)感情を埋めてもらうのね、なんて軽く想像していた。鑑賞していくにつれて、単純な予想をしていた自分が恥ずかしくなり、監督ごめんなさいと言いたくなった。
ものを分解して並べたくなる、という事を自分の感情がどこにいってしまったのかを理解する為の行動のようになっていって、次第に分解から破壊に移っていく。
原題は「Demolition」、破壊する・取り壊すという意味だ。
まさにそのままだけれど、ここでは建物などを取り壊すという意味だけではなくて、自分を無感情で覆っていたなにかを取り壊す、ような意味にも感じる。
それにはシングルマザーの友達も、大人ぶった少年も、妻のお義父さんも必要だった。だから最初に思った、ただの切ない大人のラブストーリー展開ではなく、人間と人間たちが、それぞれが持つ苦悩や感情に影響されあう(それもわかりやすく自然に、それでいてドラマチックに)映画だった。
冒頭とラストシーンの病院カットは同じ構成で、まるでゴッドファーザーのよう。
亡くなった奥さんは、ただイメージカットとして現れるだけではなく、残された夫に嫌なものを残していて、それこそがむしろラストスパートを加速させていて。

お義父さんに言った、「僕は妻を愛していました」という言葉と、そのあとの行動を観てしまえば考えるのも何だか馬鹿らしくなる。考え込む方が何だか野暮である。

そしてラスト、何の蟠りもなく、観ているこっちまでスッキリした気持ちにさせられる終わり方だったと思う。
最初は「こういうガキいるよねー映画によく出てくるわ!」と思っていたけれど、彼が受けた暴力のおかげで私はスッキリしてしまった。ちゃんと粋なお返しできるやんか、と。これは単純に私の性格が歪んでいるだけか。それとも爆破のおかげか。
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