Chiarums

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのChiarumsのレビュー・感想・評価

4.1
今までのジェイク作品の中でありそでなかったテイストなのではと。

妻が亡くなったのに涙も出ないどころか実感もわかず、しまいには愛してなかったとまで言い出すデイヴィス。
自販機に対するクレームを書いた手紙をきっかけにある親子と出会うことから、彼なりに妻の死と向き合い自己を取り戻す破壊と再生の物語。
原題どおり、家電やら家やらメチャメチャに破壊するデイヴィス。キャリアも投げ捨てまるで子どものような自由でいて無責任、やけっぱちな生活を送るようになりますが、少しずつ抑圧された哀しみから解放されていくように...
個人的に感じたのは、哀しみの表し方や愛する人を失った苦しみの表し方は自由であっていいんだということ。
涙を流して伏せっているだけが、弔いにはならないし傷ついた心が癒されるわけじゃないんですよね。
ラストは単純に大団円的な感じで丸く終わらず、どこか課題を残しつつデイヴィスもカレンも前を向いて生きて行く感じで終わったのが爽やかなエンディングでした。

デイヴィスは金融業界のエリートでもどこか大人になりきれてない男性、カレンも年頃の息子がいても何となく浮わついていて、精神的にも経済的にも男性に頼り、自立できてないある意味ヤングアダルトな女性。そんな二人が恋愛感情を飛び越え、良き友になり、まるで母と子供のような独特な関係性の中から互いの役割を果たしたように思います。
何より、デイヴィスとカレンが安易に結ばれなかったのがよかった。これで二人の関係が男と女的な生ぬるさを含むと、この映画の焦点がズレてただろうと感じます。そんでもって、カレンの息子が自分のセクシュアリティに悩みつつもなんか一番中身は大人だ!というかしっかりしてた!wあらゆる面において、監督のさじ加減は絶妙でした。

一度の鑑賞でも響きますが、二度三度と回を重ねて掘り下げて観ると、じんわりと胸に染み渡るタイプの作品です。
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