ルーニー・マーラとヴァネッサ・レッドグレイヴが悲劇の女性を演じる哀しい物語。
人相にその人の歩んだ歴史が刻まれるとしたら、ヒロインのローズを演じた二人は、深い悲しみをよく解釈して演じている。
私は俳優を誉めることはめったにない。成功した俳優のセレブ感、優越感が役からにじみ出るのを感じるのが嫌いだからだ。
本作の二人には、そのような奢りを全く感じなかった。
愛と絶望の中で誇りを保とうともがくルーニー・マーラと、
深い絶望と孤独を聖書に刻むヴァネッサ・レッドグレイヴのしわだらけだが気品のある所作
これからこの二人の作品を捜そう。
彩度が高く油彩画のような回想シーンと、淡い色相で水彩画のような老後のシーン、どちらも妥協のない構図で、小道具の配置や海の美しい背景と暗たんたる波の動き、病院内の日差し、照明まで気を配っているところが凄い。カメラと美術の調和を感じた。
そして『月光』の調べが大変効果的に使われてた。
ストーリーはずーっとつらかったけど、映像の美しさのほうが勝っていた。
この監督の作品も要チェックです。😊