"本当に人生を楽しんでいた"
あらすじを読まずに鑑賞。ただのラブストーリーではなく尊厳死、安楽死を扱った重々しいテーマも含まれていた。
いつものように起きて、シャワーを浴びて、まだ寝ている彼女を愛おしく想いながら出勤する。特別な何かがあるわけでもないが、本当に充実した毎日。
それが一瞬にして崩れ去る。
劇中でも『夢の中では事故前の五感のある自分が出てくる』といったようなことを言っていたが、毎朝起きるたびに自分の現状を把握し、絶望感に襲われる主人公の苦しみは想像以上のものだろう。
そんな中で、ある1人の世話係と出会う。
この女性との出会いは彼に一筋の希望を与えた…
でもそれは"希望"にすぎなかった。
どんなに目の前の出来事が楽しくて幸せだったとしても、彼にはかけがえのない"過去の思い出"が存在していた。心の片隅にずっと。
「歩けたら」「泳げたら」「食事を自ら取れたら」「抱きしめられたら」
苦悩は計り知れない。
もっと早くルイーザに会えていたら、彼はこんな選択をしていなかったかもしれない。そう思うと涙が止まらない。
現代は『生命の質』(QOL)が尊重されつつある風潮だ。これに関しては今もなお激しい論争が繰り広げられている。この映画も賛否両論であるが、この映画を観てもっとQOLについて知ったり、それぞれが自分の意見を持ったりできる機会が増えればいいなと思う。非常に感慨深い映画であった。