Nakanishi

カリートの道のNakanishiのレビュー・感想・評価

カリートの道(1993年製作の映画)
4.7
スカーフェイス、狼たちの午後とともに勝手に「アル・パチーノ三部作」と呼んでいるカリート。何度も観ている大好きな作品です。

映画においては些細なことですぐキレるのがお決まりのアル・パチーノですが、本作ではわりと理性的です。とはいえのっけからまくし立てていますし、時々キレます。しかし他の作品なら、目をかっ開き机をぶっ叩いて店を出て行ってしまうようなシーンも、黙って頷いて相手の話に耳を傾けます。カリートは93年作ですが、70年代のブチギレるパチーノから成長したように見えて微笑ましいです。そして応援したくなります。

ストーリーの面白さやパチーノの演技に目を奪われがちですが、ワンカットの長回しで空間をうまく捉えた臨場感あるカメラワークが多く、意外と凝った映画だと思います。特にCheryl Lynnの「Got To Be Real」が流れるクラブ・ココでのシーンは個人的な名シーンです。初めて観たときは曲も相まって完全にノックアウト。衝撃的でした。女性たちの裸体も美しく、何度観ても心を奪われてしまいます。
全体的に往年のディスコチューンやサルサなどの音楽が多く快楽的な雰囲気ですが、遠くの方で不穏な影がチラつくような嫌な予感が常に漂っており、緊張感があります。

GTA Vice Cityの元ネタにもなっており、まるで実写版を観ているかのようで、そこも個人的にはポイントです。ストーリー、カメラワーク、演技、脚本、どれも優れた名作です!!
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