一度足を踏み入れてしまうと二度とこちら側には戻れない。足を洗おうともがいても、底なし沼に足を絡め取られ続ける。更正を受け入れない社会構造もあるし、昔を知る仲間やなんかが足を引っ張って来る。自分の中の、拭えない価値観もそうだ。自分或いは周囲の人間の弱くて脆い心が足を引っ張り引き摺り下ろそうとするし、貸し借りや義理人情もまた足枷になる。
食うか食われるかの世界線で、生き残るためには殺すしかないという前提で生きて来たのなら、容易く人を信じることもできないだろう。真っ当に生きたいと願いつつ、どこかで全てを諦めている。仲間を売ることや償うことより逃げることをすぐ考えるのが彼らの性というものか。
何故かこういう悪い男を好きになってしまう、ピュアな女っているよねえ。
ラストの電車と駅構内の追跡シーンの緊迫感は良かった。裏社会で生きるなら、拳銃の腕と冷静な判断力は必須。