唯さんの映画レビュー・感想・評価

唯

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失われた週末(1945年製作の映画)

3.8

ドンが依存症に陥る一番の要因は、自己肯定感・自己受容感の低さにあることは言うまでもない。
作家になる夢に向けてもがくものの結果は得られず、現実逃避として酒を煽る。
そうしては酒に逃げた自分を責めて人生
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情婦(1957年製作の映画)

3.3

主人公弁護士のキャラが立っていて可愛い。
こちらの予想を裏切りに裏切る形での幕切れはお見事。

ショーガール(1995年製作の映画)

3.9

癇癪持ちのノエミの生き方がハードモード。
自ら生きにくくしている感が半端ないが、ショーガールとしてその階段を駆け上がって行く。

夜の世界に生きる者達にとっては、ダンスもセックスの一手段でしかない。
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娼婦ケティ(1976年製作の映画)

3.4

こんなに過酷な貧困下でも死を選ぶことなく、人々は懸命に生き延びようとしていたことに驚く。
現代と違って個人などないに等しく、悩む暇などなかったのだろうな。

貧困層の彼らには、情報を知る術がない。
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悪いことしましョ!(2000年製作の映画)

3.1

悪魔が誘惑の象徴であるならば、黒マントに斧よりも色気たっぷりの美女というのは合点がいく。

他者と比べて自分にないものばかり追い求めても、幸せは手に入らない。
まずはありのままの自分を認めることだ。
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オースティン・パワーズ(1997年製作の映画)

2.8

アメリカのコメディだと、ビジュアルいまいちな変人主人公が美女にモテる、という謎現象が起こるのが未だに納得いかない。
時代に追い付けない者は孤独に追いやられるというのは真理。

60年代は「フリーセック
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ローズの秘密の頁(ページ)(2016年製作の映画)

3.3

ただモテるだけなので相手にされない男達が勝手に怒り争うだけなのに、色情魔扱いされる不憫さたるや。
そもそも、結婚前の男女は見つめ合ってはならないって、じゃあどうやって結婚するのだよ、、
神父の執着ぶり
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俺たちニュースキャスター(2004年製作の映画)

3.3

完全なるホモソノリがまだ通用していた時代。
年齢に関係なく男ならばセクハラオンパレード。
ナンパも出来ない男なんか男じゃねえ!みたいな、女を口説くことが男を測る尺度になってしまっている。
女は抱けば言
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ベロニカ・フォスのあこがれ(1982年製作の映画)

3.5

ヴェロニカの、人からどう見られるかを常に気にしてしまう息苦しさ。強迫性障害なのでは?
本当はやりたくて仕方がないのに興味がないと言ったり、感情と身体と言葉がぐちゃぐちゃで自分自身を統率できていない。
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ブルジョワジーの秘かな愉しみ(1972年製作の映画)

3.2

不条理劇って長尺のコントだよなあと。
思い込みによるすれ違いだとかコントであるあるだし。

どこに場を移してもなかなか食事にありつけないという設定があるのだけど、そんなことを忘れさせる程に自然で、且つ
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小間使の日記(1963年製作の映画)

3.0

女中という立場でありながら、意思が強くてきっぱりと自分の意見が言えるセレスティーヌ。誇りを失わない高潔さが気高く映る。
セレスティーヌは使われている立場なのに、どこか優越感を纏ってさえいる。

主人は
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現金に手を出すな(1954年製作の映画)

3.0

大人の貫禄とは、並大抵の人間に出せるものではない。
冷静に淡々と仕事をこなして行く様は、いかなる状況でも余裕を感じさせるし、内心は違うのだとしても泰然自若と振る舞えてしまうのが凄い。

だけれど、女の
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オペラハット(1936年製作の映画)

3.0

嘘に罪悪感を感じ始めたら、それは恋!

自分のために声を上げてくれる人がいる喜びよ。
困った時に味方になってくれる人がいるか否かはそれまでの行動の結果。
人のために尽くした者ならば、必ずその情けは自分
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ファーストフード・ネイション(2006年製作の映画)

3.8

「善人対悪人の話じゃない。大企業に支配された国の話だ。土地にも牛にも人間にも企業は容赦ない。すべては利益のため。目先の利益を追求するためだ」

働くことの意義や目的も金の価値観も常識やモラルの基準や尺
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リッチー・リッチ(1994年製作の映画)

3.3

金で買えないものがあると既に悟ってしまうリッチー。
人とは違う生活の中で孤独や違和感や虚無感を感じる彼が友人を作ろうとするのだが、それを執事がお膳立てしてしまう。
金で買えないものを金で買おうとした、
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セールスマンの死(1951年製作の映画)

3.4

常に暗くて陰鬱とした表情を浮かべているところからして、そりゃあ人生仄暗くなるよなと。
愛する妻がいて二人の子供に恵まれて、十分幸せなはずだろうに、本人の捉え方によって不幸たらしめている。

母が夫のこ
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セールスマンの死(1985年製作の映画)

3.7

このお家、実は屋根や壁がなくて、セットです!これは虚構です!と主張している。
原作が演劇なので、演劇らしい会話劇。

現実を受け入れられず、過去と空想に縋るウィリー。
どこまでが現在の現実でどこまでが
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ニノチカ(1939年製作の映画)

3.3

ロシアとフランスの文化の違いの中で育まれる恋愛を描いた作品。
当時の時代背景を知っていればより楽しめるのだろうけど、知らなかった世界に心魅せられ、ときめく様はそれだけでこちらの心も綻ばせる。

鉄人の
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ねえ!キスしてよ(1964年製作の映画)

4.2

こんなに嫉妬深くて束縛ばかりじゃ愛想を尽かされるぞと思いつつ、側から見ている分には滑稽で愛らしいオービル。
年下の若くて可愛い妻を持つとこうなるのは必然よね。

まるでサスペンスかの様な音楽が大仰では
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ポリスアカデミー(1984年製作の映画)

2.0

抱腹絶倒コメディのはずなのに、笑える箇所が一つもなかった。。
私にとってはただの睡眠導入映画。

厳しく統率するのは良いのだが、それが指導側の快楽のためであったら話は違う。本人の成長のためでないとただ
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抱擁のかけら(2009年製作の映画)

3.3

エルネストがマジでクソジジイ!!!
老齢のくせに何故か自信があって、レナにどこまでも執着する異常っぷり。
レナは女優とだけあって、吐きながらでもエルネストとセックスしているのに(どれだけの嫌悪を抱えて
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テッド・バンディ(2019年製作の映画)

3.5

明らかに連続殺人鬼と疑われる状況でも、テッドを愛した女性達は彼を信じる。
テッドを信じられるのは、それまでに積み重ねた時間があるからで。
深い絆を結んで来たからこそ、愛情を持って
接して続けてくれた過
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エヴァ(2018年製作の映画)

2.0

いやいやいや、これはもう全くの別物じゃん!
男を翻弄する悪女のストーリーではなくなっている、、エヴァがただの良い人。
1962年版と違って、主人公が盗作作家だと初めから明かすことにより、ミステリー的サ
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エヴァの匂い(1962年製作の映画)

3.4

「相手は自分を映す鏡」とはどういう原理かと謎だったが、相手と関わる中で相手の中にある自分に似た部分を引き出してしまうということなのか。
タイヴィアンの挑発性・加虐性なんかは、エヴァが引き出しているのだ
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恋ひとすじに(1958年製作の映画)

2.8

イケメンだと無口で寡黙でもそれが色気になる。
何も頑張らなくてもいるだけでモテてしまうので、最初はそのルックスに見惚れていれば良いけれど、その内中身が何にもないつまらない男と気付くのがオチなのよなあ、
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グッド・シェパード(2006年製作の映画)

2.8

非人道的行為が日常として行われていて、それを日々目の当たりにするエドワード。
家族からは秘密主義であることを罵られ、秘密を明かせないことから周囲とも距離を置き、信頼も愛も得られない。
でも、これはあく
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美しすぎる母(2007年製作の映画)

3.3

上流階級に対する嫌悪と自身の出自へのコンプレックスに塗れたバーバラ。何とか手に入れた地位に縋りつこうと必死に彼らに合わせようとするも、生まれながらの金持ちに敵うはずがなく、一人空回りして浮いてしまう。>>続きを読む

ゴースト・オブ・ミシシッピー(1996年製作の映画)

3.4

「法律的に差別が消えても感情は永遠に残るもんだ」
時代が変わっても、その時代を構成する人間は60年代のまま。
若い人間は違うかもしれないが、60年代を生きた人間は平気でクロ呼ばわりするし、法が変わって
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カラーパープル(1985年製作の映画)

3.6

この時代には父親としてのロールモデルというものが存在しないから、暴力を振るうことに何ら抵抗がなかったり女を敬うことが理解出来なかったりといったことがまかり通ってしまっていて、女性はそんな男達に屈服し続>>続きを読む

アメリカン・アンダードッグ(2021年製作の映画)

3.0

「いいかカート。娘に相応しいことと成功は関係ない。人生は何になれるかが大事なんだ。長旅であって出来事じゃない」

二流は場所を選ぶ。どんな場所でも機会があれば飛び込むのが一流であって、アリーナリーグで
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テス(1979年製作の映画)

3.7

その美しさから、男にも家族にも利用され、女からは嫉妬を集めるテス。
可愛いんだから金持ちの男に気に入られるでしょと奉公に出され、君は可愛い可愛いばかり言われて妊娠させられ、あんたは良いわよねちょっと可
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グッド・ライ いちばん優しい嘘(2014年製作の映画)

3.8

難民の問題があることを知識として知ってはいても、実際にどういう生活を強いられどんな世界を知っていてどういった人生を歩むのかまで、私たちは想像ができていない。
想像を絶する程に凄絶な体験を経てもなお生き
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エム・バタフライ(1993年製作の映画)

3.4

自国のアイデンティティに誇りを持ち、国に従順であることを貫くためなら何だってやってのけるソン。
中国人としての歴史的背景があるのはわかるけれど、西洋にだってもちろん歴史があるわけで。
互いに違うという
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バックマン家の人々(1989年製作の映画)

3.5

どの家庭のどの人物にも、何だか私や私の家族のことである様な錯覚を抱かせる。
設定や立場は違うけれど、いつかどこかで感じたことのある感情を想起させるのだ。
決して内面を語らせたりはしないが、日常の些細な
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黒い司法 0%からの奇跡(2019年製作の映画)

3.3

「白人は黒人に囚人服を着せたがる。犯罪者は全員死刑だと思ってる」
本来公平であるべきの司法や政治の場自体が差別と偏見にまみれている恐ろしさ。
歪んだ正義感による差別は、組織ぐるみを通り越して国ぐるみで
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キャスト・アウェイ(2000年製作の映画)

3.6

トムハンクスがひたすらに身体を張り続ける。
無人島サバイバルというと、何故だか派手な冒険スペクタクルアドベンチャーの印象を持っているが、この作品は割と淡々としているというか。
一方メンフィスでは、とい
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