DanyangQifu

劇場版 蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- CadenzaのDanyangQifuのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

近未来の地球を舞台に、突如現れた“霧の艦隊”と呼ばれる謎の存在に戦いを挑む人々の姿を描いたSFアニメの劇場版2作目。
特徴的なのが、バトルシーンからキャラクターまで、全て3DCGで制作されており、普通のアニメ絵とは違った印象を受ける。

前作は新規映像もあったものの、TVアニメ版のディレクターズ・カットということもあり、評価としてはTVアニメの焼き直しとしか思えなかった。
しかし、今作は完全新規の内容であり、「蒼き鋼のアルペジオ」という作品が原作の漫画版とは違い、わざわざ「アルスノヴァ」という副題を付け、展開したことで、ある意味でのこの作品の世界の終着点が観れた。


感情を持ってしまったがために、悩み、争い、憎み、後悔する。自身に親しい存在であっても、互いを全て理解はできない。これらは感情があるから、起きてしまう。しかし、同時に感情があるから、理解を示そうとする。分からなくとも、理解を深め、時には叱ることの勇気が必要であるのだ。
途中、復活した金剛が超重力砲を展開し、比叡の砲撃を受け止めながら、比叡の超重力砲を挟み込む形で無効化し、そこからお互いを吐露しながら砲撃する。これが冒頭のシーンの大和と武蔵の争いの対比になっているのが良かった。(大和は武蔵を傷つける勇気がなく、沈められ、結果的に武蔵の暴走を招いた)
妙高型4姉妹はそれぞれのユニットを駆使することで、さらに個性が際立っていた。この仲の良さも、姉妹の形の一つである。
また、イオナがなぜ特別であったかの真相が発覚するが、かなり衝撃的で、そこから自分とは何か、感情は何か悩むところは、人間そのものであった。
ベターではあるが、金剛がイオナに対して言った「私の心の中にお前はいる、消えることはない」という言葉は歴史をやっていると、グッとくるものがあった。


兄弟、姉妹、家族の形は人により違う。
が、その理解の仕方を上手く表現し、また人間関係のあり方を訴えていたと思う。
エンドロール後の最後のシーンは深く心に残る。