なちゅん

アイ・ソー・ザ・ライトのなちゅんのレビュー・感想・評価

アイ・ソー・ザ・ライト(2015年製作の映画)
4.6
ようやく買えた。見られた。
2時間苦しすぎて、心が抉られるようだった。終わってから声を上げて泣きじゃくった。
特典の、ハンク・ウィリアムズを語るトム・ヒドルストンの言葉にまた涙が溢れた。観て良かったし、買って良かった。これで何度も聴けるし確かめられる。レジェンドと呼ばれる人が抱えた闇と孤独を。たぶん私は何度も見ないといけないと思う。この作品で描かれていることの本質は、まだ理解し切れていないから。

劇中の1シーンで、ひどくおそろしくなったところがあった。ゾーンに入ってしまったような感覚だった。画面越しに見えているのは確かにトム・ヒドルストンなのに、その声と口を借りて、私の知らない人が言葉を紡いでいるようだった。迫真の言葉には重みがあって、苦しみがあって、怖かった。彼のルックスはもちろん、その演技力の高さと生み出される演技に完全に惚れ込んでいるけれど、改めて、その役に対する深い理解をもって「演じる」のではなく「その人になりきる」という形で自分を深く役に沈めていく姿に、ひどく揺さぶられた。まだまだこの熱は冷めなさそうだ。

私はまだ全然、ハンク・ウィリアムズを知らない。まだ知らないのに知ったようなことを言いたくなるのは、それだけトム・ヒドルストンのハンクに真実味があったということ。それでも私はまだ知りたい。ハンクを知って、もう一度見たい。
なちゅん

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