emily

さまよう小指のemilyのレビュー・感想・評価

さまよう小指(2014年製作の映画)
3.2
モモコが5歳からずっと片思いしている男の子がやくざに小指を詰められ、その小指を作ってクローン人間を作ってしまう。クローン人間を「小指」と名付け一緒に暮らし始めるが・・

 奇想天外なストーリーにポップな色彩、リズミカルなテンポにファンタジーな乙女チックな世界観をぶちこわるようなコミカルかつグロとエロの融合が尺の短さもあって、非常に嫌味なく展開されていく。チープ感が笑いへと繋がり、ちりばめられた小ネタを挿入するタイミングが絶妙。そうして冒頭から裏切らない天真爛漫な我妻三輪子の笑顔や大げさなまでの言動のすべてが作品にマッチしており、ストーカー気質を地で行ってる感まで漂う自然体である。Andersonsのドリーミーなインディポップの世界観も浮遊感があって作品の側面とも溶け合っている。

やくざVSクローンの乱闘シーンでは、キッチン用品を巧みに操り、トラウマになりそうな、星の型使い、そうして何といってもルンバがこんな使い方されてしまう。アイデアの宝庫。小ネタ満載でヴァイオレンス要素ありながらも、音楽と我妻三輪子のふわっとゆるい空気感がしっかり包み込んでくれ、ラブに収まっていくので、爽快感さえ残してくれる。
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