emily

メイ・ディセンバー ゆれる真実のemilyのレビュー・感想・評価

3.6
20年前、36歳だったグレイシーは13歳の少年ジョーと恋に落ち、未成年と関係を持ったことで服役。獄中で彼との子供を産み、出所後ふたりは結婚。そこから20年後、2人を題材とした映画を制作するとになり、グレイシー役のエリザベスか役作りのためリサーチにやってくる。彼女のリサーチはやがて二人を古傷をえぐっていき。

終始不穏な空気が流れ、エリザベスを通じて徐々に二人の関係がみえてくる。そこに重なる役が徐々にエリザベスに落とし込まれていくのが狂気。服装やメイクもグレイシーのようになっていき、彼女を理解するために思わぬ行動にも。

そこから見えてくるのは、幸せそうに見えるが二人の間にぽっかり空いてしまった溝。

知らぬ間に見ないようにしてきた心情をえぐられるジョー。ほんの子供だったジョーが気がついたら彼女と結ばれていた。青春は全て妻に捧げ、人生も彼女に捧げてきたジョー

これは純愛なのか、それとも性被害なのか。妻の無言の圧も感じさせ、男としての責任を強く感じている夫の行き場のない思いがひしひし伝わってくる。

そこに重なる女優のエリザベス。
演技のため、役に入るため、ふたたびジョーは女の犠牲となる。

女二人の狭間で、やっと見えてくる真実。結局性犯罪とはそうゆうことなんだな。

それぞれの心情は多く語られないが、目に見えるものが全てではなく、それぞれの心情は本人にしかわからない。じわりじわりと歩み寄っていく感じで、気持ちが溢れ出てるのがよかった。
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