あしたか

ギヴァー 記憶を注ぐ者のあしたかのレビュー・感想・評価

ギヴァー 記憶を注ぐ者(2014年製作の映画)
3.6
[あらすじ]
完全な平等社会である一方、住人は過去の記憶を一切持たない〈コミュニティー〉。〈記憶の器(レシーヴァー)〉という大役を任せられた少年ジョナスは、過去の記憶をただひとり蓄えている〈記憶を注ぐ者(ギヴァー)〉と過ごす中でコミュニティーの闇を知り、脱出を決意するが…(U-NEXTより抜粋)

ベストセラー児童文学を映画化した近未来SF。偽りの理想郷に、少年は反旗を翻す。


[見所]
●ユートピア的世界観
⇒完全な管理社会が舞台。戦争、飢餓、貧困、差別等の全ての苦痛が排除された平和な世界である代わりに、人間からは記憶、色彩、感情、夢などが失われている。
色彩が排除されているため、映画はなんとモノクロ仕様からスタート。人間らしい感覚を取り戻していくにつれ世界に色が宿り、どんどん色鮮やかになっていくという独特な設定が面白い。主演の演技が段々と感情豊かになっていくのにも注目だ。
投薬で感情が抑圧されてる点は『リベリオン』に、異端者が行動を起こすという点は『ダイバージェント』などに似ている。

混沌だが自由な世界と、平和だが愛のない世界、どちらで生きるかという選択を迫られる。
人間賛美のテーマを声高々に主張する終盤のある演出は感動的。

映像面での派手さはないものの、特異な色彩設定に面白さがあるクラシカルなSFに仕上がっている。悪く言えばありがちだが、それなりに楽しめる佳作。
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